制限なし

【タウンリポート】お寺でまったり。タイ南部の昔ながらのお祭り

タイ③ ASIAN TOWN REPORT vol.10

アジアの街角を現地の生活者の視点でウォッチしてみるアジアン・タウン・リポート。私たち日本人がまだまだ知らない現地ならではの常識や流行、社会や経済・文化にまつわる話題を気ままに報告してもらいます。今回は、タイのお祭りをご紹介します。



 
 

お寺の境内が蛍光色で輝く

日本の神社での縁日を想い起こさせる、お寺の境内で開かれるどこかノスタルジックな南タイのお祭り。地元の人たちが集まり、夜店やショーをまったりと楽しんでいます。観光とは無縁のゆる〜く流れる時間に身をまかせて、昔ながらのタイスタイルを体験してみるのもオツなもの。
 

 

タイの仏教日や高僧の記念日などに、お寺の境内で開かれるとってもローカルなお祭り。開催日前には告知のための垂れ幕が門前に掛けられていますが、いかんせんタイ語表記。外国人観光客は、仲のいいタイ人といっしょに出かけるか、夜中に聞こえてくるタイ音楽を頼りに、ライトアップされた寺院を見つけるといった方法で訪れるしかありません。場合によっては蛍光色のネオン管が道路にも掲げられているので、夜光虫のように吸い寄せられてみてもいいかも。もっとも、夜の怪しげなエンターテイメント的な要素は皆無ですが。
 



 

境内にはスイーツや焼き鳥、揚げ物や粉ものを提供する夜店や、ファッション、玩具などの露天がずらりと並びます。タイならではのカラフルなプラスチック製品の日用品店ももちろんあります。お祭りに来てバケツや洗面器を買う人っているのかと思いますが、これが実際結構いるんですね。全国のお祭りやイベントを回る露天商の値付けが、激安価格だからなのでしょう。タイミュージックのルークトゥンやロックのライヴ演奏を楽しめるステージも組まれています。
 

(キャプション)友達のスーさんの奥さんとばったり遭遇





お寺の本堂も覗いてみよう 

夜店巡りやショッピングに精を出す前に、滅多にない機会なので寺院の本堂を訪れてみましょう。線香に火を着け、大きな瓶の線香立てにざくっと差してお参りします。(にわか)仏教徒としてスピリチュアルにタイと繋がった気分になれるのは、なかなかいいものです。 

 

このお祭りは高僧の何かの記念日だったのか、本堂の中には金ピカの等身大の仏像がありました。ご尊顔が極めてリアルなので、もしやミイラ像?という思いにブルっとしてしまいます。タイの各地には歴史に残る高僧が数多くいらして、このようなリアルな仏像をつくって祀られている方も多いのです。





 
 

タイ南部の伝統的な影絵人形劇「ナンタルン」

白い布を張ったポップアップ・シアターでは、影絵人形劇の「ナンタルン」が上演されていました。パッタルン県にルーツを持つというナンタルンは、タイ南部の長い歴史のある伝統芸能。水牛の革からつくられたペラっとした人形に着色と細工を施し、人形使いが棒を使って手足や口元を動かします。
https://www.youtube.com/watch?v=ysP79m7nfyo
「ナイ・ナン」と呼ばれる演者は、声色を変えて一人で複数の人形を操りながら長時間におよぶ影絵芝居を進行します。「ルーク・クー」と呼ばれる楽団が、仏教音楽に使われる打楽器や笛を使って音楽を演奏。人形の動きと見事にシンクロしたパーカッシブな音でドラマを盛り上げます。

 




 

ナンタルンはタイ南部の年配層に人気が高く、若者にはあまり人気がないと思い込んでいました。今回YouTubeでナンタルンの動画を検索してみたところ、数十万以上の閲覧数のあるものも多く、中には650万という驚異的なビューを獲得している動画もありました。 

 

内容は軍事政権の最高指導者らしき人形が出てくる政治風刺ストーリーもの。YouTubeの100万を超えるビュー数が南部の年配層のみからとは考えにくいので、軍事政権下のタイで政治的表現の手段として人形劇を使ったもので、結果として全国規模のアクセスを得ているという印象です。だとすると現代版ナンタルンは、伝統芸能と社会的メッセージを組み合わせた、極めてしたたかな新しいタイの表現活動と言えるでしょう。

 

スクリーンの背後は強力なスポットライトの熱でむっとする暑さ

 

 

執筆者ダミー画像
nanchatic 
タイ南部スラタニ在住。現地の大工さんといっしょに作った家に住んでいます。好物は William Onyeabor 。facebook.com/cafeRyzm にグッときた音楽をアップしてます。できたらくだらないことばっかり考えて絵本を描いて暮らしていきたい。猫にはモテます。 
公開日: 2018年10月06日 00:00