制限なし

【タウンレポート】マレーシア 金曜午後は労働意欲を失う…

《ASIAN TOWN REPORT vol.15》

アジアの街角を現地の生活者の視点でウォッチしてみるアジアン・タウン・リポート。私たち日本人がまだまだ知らない現地ならではの常識や流行、社会や経済・文化にまつわる話題を気ままに報告してもらいます。今回は、マレーシアの国教事情についてご紹介します。


 

マレーシアのムスリムたち

マレーシアにはマレー系、中国系、インド系、といった色々な背景の人が一緒に生活していますが、その中でイスラム教徒のことを「ムスリム」と呼びます。国教がイスラム教と定められているので、家を買う時、進学する時、就職する時など、ムスリムが優遇される制度があるそうです。違う宗教の人がムスリムと結婚するには、改宗するのが条件です。ムスリムは国で大切にされています。全体的に、親切で人懐っこい人が多いです。 
 

ムスリムは1日5回祈りをします。モスクの近くに住んでいる人は毎朝5時半頃、モスクから流れる大音量のアザーンという音楽に起こされることになります。音楽というか、アラビア語で詩吟を読んでいるイメージですが、これは祈りの始まる合図です。私は初めのうちは神経質になっていましたが、何を歌っているのかも全く分からないのですぐに慣れて起こされなくなりました。これを目覚ましに起きているという人もいます。19時頃にも町中で同じ音楽が流れます。 
 

また、毎週金曜日は1週間で一番長い祈りをする日となります。昼に2時間の祈りをするため、この日は各モスクに大勢のムスリム男性が集まります。私たちにとって困るのは、各モスク周辺の渋滞と無法地帯と化した路駐です。駐禁の道に二重に縦列駐車をしたり、街路樹帯に乗り上げたり、人の家の前でも適当に駐車したり、なんでもありです。この時は警察も取り締まりません。なぜなら警察は100%ムスリムだからです。気をつけないと、たまたまモスクのそばに車を泊めて出かけていたら、祈りが始まってしまい他の車に囲まれて2時間以上動かせないなんてことも。そのため、毎週金曜日は、モスクの場所と移動時間をよく考えて行動しています。
 


 

金曜は2時間以上の昼休み

また、毎週金曜日は職場でムスリムだけ2時間以上の昼休みがもらえるそうです。この時モスクに入って祈れるのは男性だけのため、ある女性たちはリッチに長いランチタイムを楽しんでいるという話を聞いたことがあります。それでもムスリムでない同僚は文句を言えません。また、出先でモスクに行けない人のため、空港、駅、ショッピングモール、病院など大型施設には祈りのための部屋があります。Surauと書かれた部屋は、マレー語で祈りの部屋のことです。最近は観光客のため日本の空港などにも祈りの部屋が作られているようです。



こちらに来て最初の頃に、家の修理とインターネットの修理の手配をしたことがあります。どちらの業者もマレー人でしたが、私は彼らの習慣がまだよくわかっておらず、金曜日の3時でお願いしました。「okay」と返事があったにも関わらず、4時を過ぎても来る気配がありません。電話して「何してるの?いつ来てくれる?」と聞くと、「今お茶飲んでるからまだ行けない。何時に行くか分からない」とのこと。お祈りはとっくに終わっているはずなのに、結局その日は連絡なしにすっぽかされました。2つとも業者は来てくれませんでした。その話をローカルの友達に話したら、「金曜日の午後に業者の手配はしないほうがいいよ」と言われました。長い祈りを終えた彼らは、満足感に満たされて労働意欲を大いに失うのだとか。ムスリムに聞いたわけではないので本当のところはわかりませんが、それからは金曜日の午後に業者の手配はしないようにしています。

それと少しつながっているようにも思えますが、田舎の方の特にムスリムが多い地方に行くと、町の休日が金曜・土曜に定められているところもあります。日曜日は平日で仕事も学校も普段通りにあります。やはり金曜日は働きたくないのかもしれません。ここで暮らす以上、彼らの習慣を理解して尊重していかなければいけないので、日々勉強です。



 

 

執筆者ダミー画像
こじままさみ 
クアラルンプール在住。 三重県出身でマレーシアに来て2年になります。日本ではあり得ないことが当たり前のこととして起きるので、初めはショックを受けてばかりでしたが、最近は多少のことなら話のネタに笑いとばせるようになってきました。マレーシアのゆるーい空気を愛情たっぷりにお伝えしたいと思います
公開日: 2018年11月17日 21:58