偉大なる名優全2本

人々の記憶に強く残る ブルース・リー、そして高倉健

映画史に残る伝説のアクションスターとして、武道家として、世界中に愛されたブルース・リー。戦闘中の甲高い声やヌンチャクさばきは、今なお多くの人々の記憶に強く残っています。32歳の若さで早逝し、主演映画はわずか5本。しかしながら、そのすべてが爆発的ヒットを記録し、死後も、彼をめぐる神話化は絶えることがありませんでした。一方、1970年代前半、米国ではブルース・リーに続く新しいアクションスターが求められ、そこで白羽の矢が立てられたのが、日本のヤクザスター・高倉健でした。1989年に映画「ブラック・レイン」で共演したマイケル・ダグラスは、名優高倉健をこう語ります。「凜と立つだけで体の中心が見える気がした。それが健さん」。スタイルは違えども、アジアの伝説的名優として世界に記憶されたふたりの男には、今なお人々を深く魅了する生き様がありました。

死を覚悟した男が放つ、絶対的な強さと美しさ

ふたりの名優に共通することは、芯の強さと強靭な精神、そして役者としての圧倒的才能と、そこから生まれるカリスマ性です。爆発的なヒットで、ブルース・リーを一躍スターダムにのし上げた「ドラゴン」シリーズ。それらの映画の軸となる「格闘シーン」で表現された武術は、決して娯楽向けに作られた演技の「闘う真似」ではなく、彼が全人生をかけて創り上げていった本物の実践格闘技「ジークンドー」でした。そこには死を恐れない無敵の男が放つ絶対的な強さと、無駄のない驚異的に洗練された技の極みがありました。一方で、高倉健も死を覚悟した孤高の男の“官能美”とまでいえるほどの屈しない男の精神の気高さ、その鋭い眼光の奥にある優しさまでを演じて見せ、世界中の映画人に影響を与えています。かねてから高倉健のファンを公言するジョン・ウー監督は、「私にとって高倉健は、男の中の男だった」「チョウ・ユンファや、ジョン・トラボルタに演技を付け、トム・クルーズを撮影する時でさえ、高倉健のスタイルを常に意識して、しなやかさ、優雅さ、自信のある動きを彼らに反映させる」と熱く語ります。

ブレないで生きることの強さが、人々に勇気を与えてくれる

時代が変わり、もはや、誰もの記憶に深く刻まれる圧倒的な映画スターは出現しないのでしょうか。彼らのような“闘う男”は消えゆく存在なのでしょうか。永遠のヒーローであり、人生の目標であり、ある意味ミステリアスで、神のような存在。マイケル・ダグラスは、高倉健をふりかえり、こう称賛します。「健さんからシンプルであることの大切さを学んだ。彼はブレることが無かった」。高倉健が演じた男たちは、義理人情を重んじる人間でした。カネや権力におもねることなく、自立した存在でした。“最後の決着は自分でつける”という責任ある真っ直ぐな誠実さに、私たちは勇気をもらいました。ブレないで生きること、凛として生きること。その普遍的な人間の魅力は、今、時代を経て、ますます輝きを増しているのです。

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