ニッポンの美全6本

日本は独創的な染織技術の宝庫

染織は、私たちの暮らしに欠かせない布を、染めたり織ったりする技術のことです。そうした染織の技術は古代までさかのぼり、飛鳥・奈良時代には隋、唐から、室町・桃山時代には明や南蛮から、そして明治時代には西欧から多くの影響を受けました。一方で、日本国内でも、それぞれの時代に花開く文化や、地域の風土の特色を取り入れつつ、平安時代の公家文化や、安土桃山の武家文化、江戸時代の町人文化などによって、日本の染織はオリジナリティあふれる独動的な技術をはぐくみ発展してきました。

伝統を守り受け継ぐこと、革新に挑み続けること

京都では千年も昔から、染織の技術を連綿と受け継ぎ、職人たちが細かく分業しながら完成度の高い呉服を中心とした美術染織品の数々を生み出してきました。それらは、常に新しいデザインと技術への挑戦の積み重ねであり、おしゃれに対する日本人の美意識の結晶といえます。また、全国津々浦々でも、その土地の暮らしに根差した染織の伝統が受け継がれてきました。じつに豊かな染織文化が、人々の生活に彩をもたらしてきたのです。

伝承の危機を乗り越えるために

しかしながら、いま染織技術の伝承に危機が訪れています。需要の低迷と、職人の高齢化、若い世代の担い手不足により、廃業を余儀なくされる職人たちが増えているのです。こうした事態を改善しようと、髙島屋など、民間企業が支援に取り組む動きも出ていますが、抜本的な解決策は見通せません。日本の伝統を守りつつ、革新に挑み、新たに生きる道を模索すること。これは私たちの文化を守る上での急務といえるでしょう。だからこそ、私たちが暮らしの中で日本の伝統的な染織品の価値をみつめなおし、その良さを知り、活用することが求められています。きものを着ることの喜び、伝統文化のある暮らしの豊かさについて、まずは興味を持っていただければと思います。

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