遥かなる山嶺全3本

地球最高峰の山脈が連なるアジア

アジア大陸のヒマラヤ山脈とカラコルム山脈には、地球上で標高8000mを超える14の山すべてが存在します。中国・ネパールの国境に位置する世界最高峰の「エベレスト(チョモランマ)」《8840m》をはじめ、パキスタン・インド・中国にまたがる「K2」《8611m》など、世界中の登山家たちが登頂の栄光を求めて、命を賭して高峰をめざし続けています。登頂することは人間の限界に挑戦することであり、また生還することは地球上の極限下においてもなおミッションを遂行できる確かな判断力、技術力、そして強靭な肉体と精神の証明に他なりません。こうしたアルピニズムは、アジアの聖なる山々と向き合いながら、独特の深遠な精神世界を生み出してきました。

アルピニズムの商業化

一方で、英雄たちに触発された人々が登山ブームにより、自らのスキルを省みず高い山を目指し、滑落や遭難など、事故を起こしてしまう場合も増えました。また、莫大な資金によって登頂を成功させようとする登山の商業主義化により、「お金持ちによる高所遠足」などと揶揄される一面も出てきました。とはいえ、8000m級の山々への登頂は、「死」と向き合うことに他なりません。一流の登山家であっても命を落とす場所なのです。

登頂の栄光を陰で支える人々

そうしたアルピニストたちの登頂の栄光を支えているのが、アルピニストたちの影の存在、現地のシェルパやポーターたちです。未開の高地で物資を運ぶには、山道を歩ける人間か、荷物を背負わせる動物以外にはありません。高地では空気が薄いため十分な揚力を得ることができずヘリコプターも使えません。(4000メートル程度が一般的なヘリコプターの高度限界です) そうした極限の地で、彼らはわずかな報酬を手にするため、過酷で危険な労働に従事している現状があります。しかし、登山シーズン以外に雪に閉ざされる高地の寒村では、他に仕事の選択の余地がありません。彼らにとっては、シーズンの数か月で一家を養う1年間の報酬を稼ぎ出さなければならない事情があるのです。

アジアの山嶺から世界へメッセージ

今回の特集では、世界一登ることが難しい山ともいわれている「K2」のポーターたちのリアルな実情や、世界から集まった9人の”平和のクライマー”たちによるエベレスト登頂の過程、そしてネパール初の“エベレスト 女性登山隊”たちの奮闘をご紹介するドキュメンタリーを合わせて3作品を配信いたします。世界最高峰の山々だからこそ、登頂そのものが大きなメッセージとなり、世界へ伝わることを、あらためて感じさせてくれます。
 
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