混迷するシリア全4本

混迷を極めるシリア内戦 世界に与える影響は?

「今世紀最大の人権侵害」といわれるシリア内戦が始まって8年を迎えます。死者50万人、国民の2人に1人である1100万人超が難民、国内避難民という混迷を極めた状況は、いまだに解決の糸口が見えません。アメリカのトランプ大統領は、一部の小規模な部隊を残しつつ、駐留米軍を撤退させると宣言し、実質的にはアサド政権と後ろ盾のロシアの勝利といわれています。米軍の撤退は、シリアにどのような影響を与え、国際情勢にどのような変化をもたらすのでしょうか。

化学兵器を使用し、国民を弾圧するアサド政権

シリアの民主化運動は、「アラブの春」をきっかけに起きました。アサド政権の国民に対する暴力、特に子どもに対する拷問、虐殺が人々の怒りに火をつけます。平和的なデモに対するシリア政府の武力弾圧は、やがて血で血を洗う内戦へと拡大していきます。2013年には、ついに政府軍が化学兵器を使用する暴挙に出ました。

ひとつになれない反政府勢力、そして「イスラム国」(IS)の台頭

政府軍から離脱した将兵が結成した「自由シリア軍」は、アサド政権の転覆を目指して戦いますが、クルド人勢力や「ヌスラ戦線」など他の反政府勢力をまとめきることができず、次第に分裂、弱体化してしまいます。その混乱のなかで台頭してきたのが「イスラム国」(IS)です。彼らは支配地域で人々を虐殺し、イスラムを語りながら、恐怖によって支配を拡大しました。

アメリカ、ロシアの軍事介入

2014年、アメリカは「イスラム国」(IS)の壊滅を目的に空爆し、同盟国トルコの敵対勢力であるクルド人勢力を支援し、掃討に力を尽くします。2015年にはロシアも軍事介入。ロシアは「イスラム国」(IS)掃討を理由にしながら、反政府勢力をも攻撃し、アサド政権を支援します。一方、「対テロ」を掲げるアメリカは、反政府勢力であったとしても、アルカイダとのつながりのある武装勢力を支援することはできず、ロシアとアサド政権の攻勢に抗いきれませんでした。アメリカの矛盾した政策が露呈し、トランプ大統領は撤退を決断します。

国家は何のためにあるのか 蹂躙され続けるシリア国民の8年

この8年で蹂躙され続けてきたのは、シリアの人々です。戦火に追われた人々は、難民となり命がけでヨーロッパへ渡りますが、そこにも安息の地はありませんでした。 特集では、シリア内戦で何があったのか、どのような思いで人々は戦ったのかを振り返りながら、戦争とは何か、国家は何のためにあるのかを、あらためて考えていただきたいと思います。

 
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