中国現代史に挑む全3本

中華人民共和国建国70年 「天安門事件」30年

毛沢東が北京の天安門で中華人民共和国の建国を宣言してから今年で70年。そして、その場所で、民主化を求めて集結した学生や一般市民のデモ隊を人民解放軍が武力で鎮圧し、多数の死傷者を出した「天安門事件」から6月4日で30年を迎えます。今なお、「天安門事件」は、中国社会における最大のタブーとして封印され、指導者たちは、そのような事実があたかも無かったかのように口を閉ざし、実態は闇に葬られてきました。

封印された中国現代史 それは、中国共産党の歴史

しかし、中国現代史を紐解くにあたっては「天安門事件」の一点だけがタブーなのではなく、中華人民共和国の建国から現在に至るまでの70年において、未だ正面から語られることのない中国共産党の歴史が連綿と続いているのです。なかでも1966年から1976年まで続いた毛沢東主導による「文化大革命」は、騒動による死者が40万人、被害者が1億人と推計されており、目を背けたくなるほど壮絶な実態が、歴史の闇に閉ざされたままです。

闇に光をあてる「民間ドキュメンタリー」の価値

こうした中国社会において、近年ドキュメンタリーが大きな価値を生み出しています。国の検閲を通さず、国家の管理や、映画産業のシステム、商業的な制約から独立し、個人が自費で製作し、自由な表現を追求する「民間ドキュメンタリー」が地下活動として活発化してきたのです。そこで、今回の特集「中国現代史に挑む」では、自らの危険を承知の上で、中国の現代史に果敢に斬り込み、映画祭や外国での上映を通じて封印された歴史の闇に光を当てようと尽力してきたドキュメンタリー映画監督 胡傑氏の代表的な3作品を配信します。

「自分は真正の中国人を撮るべきだ」 ドキュメンタリー映画監督 胡傑氏

専修大学教授で中国研究者の土屋昌明氏のインタビューで、胡傑氏はドキュメンタリー映画の製作動機を以下のように答えています。「中国にはたくさんテレビ局がありますが、そうしたテレビ局は、真正に、まじめに、客観的に、中国の一般庶民・中国の人民を撮ろうとしてこなかった。我々中国人のかけ声はいつも「人民、人民、人民」なのに、具体的な一つのニュースでもいいし、一つの物語でもいいから、見ればわかるように、それはまったく人民ではなくて、党がどのようにその仕事をしたか、ということを撮っている。それゆえ、自分は真正の中国人を撮るべきだ、それらがどのように真正な生活かを撮るべきだ、と考えたのです」。党の視点ではなく、人民の視点から歴史を見つめたとき、何が見えてくるのか。それが彼の追求するドキュメンタリーのテーマなのです。

中国当局の弾圧による危機に瀕する「民間ドキュメンタリー」

習近平の指導方針により、中国の「民間ドキュメンタリー」は、現在、作品制作も上映も、ますます強い弾圧を受ける傾向にあり、危機に瀕しているといわれています。そうした状況について、私たち日本人は決して無関心であってはなりません。

 
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