輪廻転生と向き合う社会全2本

世界が注目するダライ・ラマ法王14世の後継者選び

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ法王14世の後継者選びについて、世界が注目しています。それは、亡くなった後に生まれ変わりを探し出すという現行の「輪廻転生」制度が維持されるのか、もしくは新制度が取り入れられるのか、その行方が気がかりだからです。

歴代のダライ・ラマにより受け継がれてきた伝統が途絶えることは、チベット文化の衰退につながるのではと危惧する声もありながら、一方で、現行の方法だと後継者の認定に時間がかかることから、中国政府が介入し、制度自体が成り立たなくなる可能性もあるといいます。

実際、2007年 中国政府はダライ・ラマを含むチベット高僧の後継者の選定と訓練に中国政府が関与する法律を施行しています。また今年4月、中国政府は、あらためてダライ・ラマの転生者問題について、「中国の法律に従う必要がある」との認識を示しました。チベット亡命政府は、チベット社会の民意も含め、さまざまな方法を検討しながら、最終的にはダライ・ラマ法王14世が決めることになるだろうとコメントしています。

人々の暮らしの中で受け継がれている「輪廻転生」

政治問題で注目される「輪廻転生」ですが、本来は、今なおチベット社会で広く受け継がれている信仰です。ダライ・ラマ同様に、この世の衆生を教え導くため、如来、菩薩、過去の偉大な仏道修行者の化身として、この世に姿を現すとされるリンポチェ(輪廻転生の高僧)も数多く存在します。

「肉体が死んでも魂は滅びずに生まれ変わり、永遠に生き続ける」、「魂が生まれ変わるのは人間だけとは限らず、生前の行いによって転生する世界が変わる」など、チベット仏教の教えは、今なお人々の暮らしの中で確かに受け継がれているのです。 。

新たな価値を生み出す科学的な考えと仏教的な考えの共存

こうしたチベット仏教の教えについて、非科学的な価値観ととらえる日本人も多いでしょう。一方で、科学の進歩が目指してきたはずの幸福な社会が、現実には絶望的な社会を生み出していることも事実であり、人々は、現在社会の閉塞感への打開策を求めています。

ダライ・ラマ法王14世は、チベット仏教の最高指導者でありながら、科学との対話を重視しています。それは、科学的な考え方と、仏教的な考え方が、相対するものではなく、むしろ並列的に共存していくことこそ人類にとって非常に意義深いものだと考えているからです。

そこで今回の特集では、チベット仏教の「輪廻転生」について考える2本のドキュメンタリー映画をお届けします。科学だけが万能であるという考え方からの脱却は、むしろ私たちに新たな価値をもたらしてくれるのです。

 
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