兵士たちの苦悩全3本

帰還兵たちを苦しめるPTSD 

アフガニスタンやイラクなど、戦場からの帰還兵が精神を病むケースが後を絶ちません。彼らは、幸運にも最前線で生き延び、平和な母国に戻ることができたにもかかわらず、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、最悪の場合はうつによって自殺してしまうこともあります。なぜ、帰還兵たちはこうした事態に追い込まれてしまうのでしょうか。

“人を殺す”任務と残酷な死

戦場は常に命の危険にさらされています。兵士たちは肉体的にも精神的にも、極めて苛酷な状況におかれます。敵を攻撃することは、人を殺すことです。ごく普通の市民が、志願した兵士だとしても、“人を殺す”任務を与えられ、それを負担に感じない者はいないはずです。むしろ、戦場で次々と残酷な死を目撃することで、心に大きな傷を受けるのは当然です。

“仲間を守れなかった”罪悪感

また、死と隣り合わせの軍務では強い仲間意識が芽生えます。そうした仲間を戦場で失うことによって生じる喪失感、絶望感。そして“仲間を守れなかった”という罪悪感は、任務を終えても、なかなか消えないといわれています。

「戦争中毒」に陥っていく兵士たち

さらに、戦場という特殊な環境が、兵士たちの精神を壊していきます。「戦争は麻薬である」といわれています。狭い前線基地でじっと息をひそめる日常。危険と隣り合わせの偵察活動。そして突然の敵襲。激しい銃撃戦によって極度の興奮状態になる兵士たち。その繰り返しが、やがて彼らを「戦争中毒」に陥れてしまうのです。“もっと殺したい”という欲求が、次第に彼らを蝕んでいくのです。

戦場は、日本人にとって決して無縁なものではない

戦場は、ひとりの人間の精神を、まるで別の人間のように変えてしまうほど、強いストレスをもたらします。平和な社会で生活している限り、そうした過酷な心理状態を理解することは難しいでしょう。しかし、現実に、世界中に紛争地帯が存在し、そこへ派遣され、戦闘に従事する兵士たちがいるのです。そして、それは、私たち日本人にとって決して無縁なことではないのです。

特集「兵士たちの苦悩」では、最前線で戦う若い兵士たちのリアルな心情に迫るドキュメンタリー、3作品をお届けします。

 
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