変わりゆく香港全4本

「一国二制度」は、本当に守られるのか

香港のデモ活動が6か月を越え、返還以降、最長となっています。香港人が中国当局の取り締まり対象となる可能性がある「逃亡犯条例改正案」の反対から始まったデモ活動は、条例の改正を阻止したものの、収束どころか長期化、過激化しています。その背景には、香港の憲法である「香港特別行政区基本法」で定められている普通選挙制度が返還後22年たった今も実施されていない現状があります。約束された制度を先延ばしに、形骸化する「一国二制度」への不信感が募り、市民の怒りが爆発しているのです。

香港の“中国化”を危惧する香港市民

2014年、中国は2017年の香港行政長官選挙で、民主派が立候補するのを事実上不可能とする決定を下します。反発した市民は「雨傘運動」を繰り広げました。この運動は79日間継続しましたが、中国は譲歩せず、反対運動は挫折します。2015年、習近平主席ら中国政府高官のスキャンダルや政治批判を題材にした書籍を販売していた香港の書店の店主ら5人が、次々に失踪する事件が起き、中国当局に身柄を拘束されていたことが判明。この事件は、香港に保証された「言論の自由」さえ、中国共産党によって奪われつつあるという恐怖心を、香港市民に抱かせます。 2017年、中国の最高裁判所長官である周強最高人民法院院長は、「西側の三権分立・司法独立等の“誤った思想”の影響に対し、断固として戦わなければならない」と主張します。こうした考えは「中国共産党に逆らうものはみな悪者にされる」という香港人の不安を助長したことは否めません。 香港の人々は、中国が明らかに香港の“中国化”を進めていることを強く危惧しているのです。

低下する香港の中国に対する経済的影響力

1997年、香港経済は中国全体の2割弱の経済力を誇っていました。しかし、20年後の2017年には、わずか3%弱に低下しています。さらに、香港の不況に対し、中国が救済策として経済面で急速な融合策をとったことも、その副作用が市民を苦しめます。不動産価格の高騰です。富裕層が資産を増やす一方、庶民は家賃の暴騰に悲鳴を上げたのです。香港の資産家や企業家、地主たちが土地を買い占め、大儲けする一方、不動産価格を押し上げ、若者たちは、どんなに働いてもウサギ小屋すら買えない状況に追い込まれました。

「香港人は中国人ではない」 香港人のアイデンティティー

こうした、「一国二制度」の揺らぎと、“中国化”への強い不安が、香港人の中国への嫌悪感を増幅させています。そうしたなかで、「香港人は中国人ではない」という主張があらためて強まっています。香港大学の調査によると、香港の若者の75%が「自分は香港人である」と答えています。香港人としてのアイデンティティーを見直そうとする考えです。祖国とは何か、故郷とは何か、移民の多い香港の人々が、自らのアイデンティティーを問う動きが広がっています。
0
ログインするとコメントをすることができます