人類史を紐解く全2本

人類史上の謎、“縄文”

私たち日本人や日本文化の原点はどこにあるのでしょうか。人類史を紐解くと、じつは大きな謎に行き当たります。1万年以上も続いた「縄文」という時代。それは、竪穴式住居で暮らし、人々が狩猟して生きていた時代です。しかし近年の研究で、すでにこの時代には文明と呼んでも差し支えないほど高度に発達した社会と文化があったのではないかといわれています。人類が初めて定住した狩猟採集の生活様式、縄文火焰土器と土偶の意味など、世界のどの国々にもない独自の個性を生み出していたのです。なぜ、そうした文明が形成され1万年以上も続いたのか。それは、まさに人類史上の謎ともいえます。

日本人が受け継ぐ文化的遺伝子

縄文時代の特徴は、自然との共存共生でした。それは、日本人の精神にも文化的遺伝子として受け継がれています。太陽や富士山を崇拝する気持ち、大自然への畏怖と感謝の念、生きとし生けるものを大切にする心。現代の多くの日本人が忘れかけている本能的に持ち合わせた感覚や感性が、生活の基礎となっている時代でした。それは、私たち日本人が誇るべきアイデンティティーの源流なのです。

“縄文の美”から紐解く縄文人の宇宙観

芸術家であり民族学者でもある岡本太郎は、縄文火焰土器から“縄文の美”を再発見し、日本の美術史を書き換えたといわれています。彼は、考古学的な解釈ではなく、縄文火焰土器が持つ造形美や四次元的な空間性から、縄文人の世界観、宇宙観を社会的、哲学的に解釈したのです。それは世の中に大きな衝撃を与え、美術界や建築界に縄文ブームが沸き起こりました。

「縄文の怪物」が問う―人類は本当に進歩したのか?

その岡本太郎が、1970年の大阪万博で「人類の進歩と調和」というテーマに対し、アンチテーゼとして作ったものが「太陽の塔」です。進歩と調和を唱えて未来が拓ける時代は早晩終わりを告げ、科学技術と資本主義一辺倒で豊かさを追い求め続ける社会はそのうち行き詰るだろう。その時、人間が根本から見直し、取り戻さなければならないものは「縄文」なのだ。そうした意味を込めて、彼は万博の真ん中に、この「縄文の怪物」を“突き刺した”のです。

縄文から「人類史」の深い世界へ

今回の特集では、日本人の起源といわれる縄文を切り口に、あなたを「人類史」の深い世界へと誘います。私たち人間がどうあるべきかという究極の問いに対する答えを紐解いていくのは、あなた自身なのです。

 
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