大自然からの知恵全2本

大自然から学ぶ「共存共生」の知恵

日本人の精神や多彩な文化の源流には、大自然から学ぶ「共存共生」の知恵がありました。それは、人間が自然と向き合いながら、自然から与えられる試練を逆手にとり、生まれながらに備わった本能的な感性と感覚で生み出した創意工夫による「宝」といえるでしょう。それは、数字というデータだけでは表せない大きな価値を秘めています。

精神的な充足感を満たすものへ

例えば、「手づくり」のもたらす価値は、機械による生産が一般化している現代で、より高価なものとして見直されてきました。それは、計算だけでは導きだせず、人間が持つ研ぎ澄まされた感性や感覚によって生みだされるものだからです。近年の消費者は、商品に自己実現の欲求や心の充足、文化的・社会的な経験など、いわゆる「心の豊かさ」や「癒し」などを求める傾向が強いといわれています。顧客の消費がモノからサービス、つまり精神的な充足感を満たすものへと移っているのです。

人間が自然と向き合い手にする能力

勘と経験を駆使した技能集団による酒造りは、現代の日本でも健在です。温度計も顕微鏡もない時代から、杜氏たちは発酵状態の微妙な変化を香りや味の移り変わり、肌に感じる温度の変化など、鋭い感覚によって的確に把握し、経験の積み重ねによって酒造りの複雑な手法を次々とあみ出してきました。優れた料理人もまた、豊かな感性と、経験に裏打ちされた感覚によって、食材を選び、熟練の技によって最高の料理を完成させます。そうした能力の根源は人間が自然と向き合い、自然と共存共生するなかで磨かれていくものではないでしょうか。

「人間は自然の一部である」という考え

日本人が受け継ぎ守り続けてきたこだわりを突き詰めると、そこには、日本人独自の自然観にいきつきます。それは、「人間は自然の一部である」という考えです。“侘び寂び”などの美意識もまた、自然が織りなす「寂れたもの」と「それを美しいと思う心」であり、“不可避の受容”といえます。この世のものは時間の経過とともに劣化していくもの。それは避けられないこと。時の流れを思わせるものを、単に劣化したものとして見るか、そこに美しさを感じるかの違いが伝統的な日本の価値観を形作ってきたのです。

知恵を受け継ぐ人々、価値に気づく人々

今回の特集では、自然と向き合いながら手づくりにこだわり伝統的な酒づくりを続ける日本の酒蔵の職人たちの仕事と、日本を知らない世界一のレストランの職人たちが、日本の食文化、日本の食材を知ることで、誰も味わったことのない料理、新たな価値を創造しようとする挑戦を記録したドキュメンタリー映画をお届けします。大自然からの知恵を受け継ぐ人々、そうした価値に気づく人々から 日本の源流を感じていただきます。

 
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