特集「遠い故郷」(全2本)

◆故郷、それは「人生の出発点」
「故郷とは何か」と問われると、それは誰もが「自分の生まれ育った場所」を思い起こすのではないでしょうか。言い換えれば、それは「人生の出発点」であり、「自己形成の原点」でもあります。私たちは、生まれた場所を起点にして生活を営み、人と交わり、成長し、活動の領域を広げていきます。生まれた場所で父母や兄弟、家族、親戚に育てられ、近所の人々とふれあい、学校では教師や友人と交流し、少しずつ自分という存在を確立させていきます。自分の考え方や感じ方は、この過程で身についていくのです。生まれた場所での経験が、自分の価値観やアイデンティティ、人格形成の基礎になっているのです。
 
◆故郷を失ってしまうことの計り知れない喪失感
そうして人々は大人になり、やがて生まれた場所から遠く離れて生活する機会が増えていきます。しかし、いくら生まれた場所から離れたとしても、私たちは「故郷」を忘れることはありません。どこかで「故郷」を思い、懐かしみます。それは、そこで得たものが自分という人間の原点であり、中核を成すものだからでしょう。もし、「故郷」を失ってしまうことがあれば、それは自分の大切な拠り所を失うことであり、喪失感は計り知れません。例えば、自分の生まれ故郷へ二度と戻ることができなくなってしまったら。例えば、自分の生まれ故郷がどこだかわからないとしたら。まるで糸が切れてしまった凧のように、自分という存在が急に不安定なものに感じてしまうのではないでしょうか。
 
◆遠い故郷へ思いを馳せて
私たちは「故郷」と向き合いながら、自分の存在を確かめようとしているのではないかと思います。他人にとっては、たとえ辺鄙で不便な場所であったり、過酷な自然環境や貧しい地域であったりしても、自分にとってはかけがえのない場所なのです。そこには、合理的な考えだけでは割り切れない、深い心の絆のようなものでつながっています。 今一度「故郷」を思い出してみませんか。自分のルーツを確かめながら、人生の歩みを振り返ってみた時、忘れかけていた大切な何かに気づくことができるかもしれません。 この特集では、遠い「故郷」へ思いを馳せる人々の3つのドキュメンタリー映画をお届けします。

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