工場で働く全3本

世界の工場を支える労働者たちの苦しみ

21世紀の始まりとともに、アジアは「世界の工場」としての機能を果たしてきました。数々の世界的ブランドの生産現場も、アジアの新興国に依存しています。しかしながら、そこで働く人々を取り巻く環境には、多くの課題が取り残されています。長時間労働、低賃金、安全とは言えない労働環境、労働者の意向を受け入れない一方的な管理、厳しい規則と処罰など、問題は多岐に及びます。

搾取され、使い捨てられる工場労働者たち

さらに、世界的企業の製品に関わる工場であっても、監視が行き届かない二次下請けの工場では、違法な児童労働や、奴隷労働、搾取的労働などが行われている事実も発覚し、国際社会で問題視されてきました。過酷な労働で心身を消耗させ、数年で退職を余儀なくされる多くの工場労働者は、都合よく企業に酷使され、使い捨てられているのです。豊富で廉価な労働力を強みに、世界の生産基地としての競争力を高めるアジアの新興国の発展は、一方で搾取される工場労働者たちの犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではありません。

世界で求められる企業による人権尊重

こうした事態を受けて、企業による人権尊重の責任を問う声が高まり、国連人権理事会では「ビジネスと人権に関する指導原則」が支持されました。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に当たっては、人権の保護・促進が重要な要素と位置づけられており、「誰一人取り残さない」社会の実現に期待が集まっています。消費者である私たちも、労働者の人権に対する企業責任についての意識を高め、「消費者の選択」を企業に突きつける必要があります。まずは、アジアにおける工場労働の実態を知り、私たち自身が考えなければなりません。

人間がいかに人間らしく生きることができるか

働くことで与えられるものは何か、失うものは何か。それは、人間がいかに人間らしく生きることができるかという問いにつながっています。近い将来、工場の自動化が進むと、仕事を追われた労働者たちは、高い技術を必要としない仕事を低賃金で奪い合うことになるでしょう。「誰一人取り残さない」社会を実現しようとするならば、私たちは真っ先に労働について、より深く知り、考える必要があるのです。


 
0