馬と生きる全4本

廃れつつある馬と人間の関り

私たちの生活の中で、馬と人間との関りが廃れつつあります。かつて私たち人間の暮らしの中で、馬は同じ一つ屋根に暮らす家族のような存在でした。日本に馬が渡来したのは、4 世紀末から 5 世紀初頭とされています。それ以降、農業や林業では、馬に農耕具や荷車を曳かせ、人間とともに働きました。騎馬として人間同士の争いにも長らく用いられてきました。それらは長い歴史の中で文化として育まれ、単なる道具ではなく、心を通わせる仲間やパートナーになったのです。しかし、産業革命によって動力が発明されると、だんだん馬は機械に代わっていきました。荷車はトラックになり、馬鍬はトラクターになりました。

競走馬として愛される馬たち

一方、競馬は現代のエンターテイメントとして多くの人々に愛され、私たちが馬と出会う大きなきっかけにもなっています。風のように駆けるサラブレッドたちの輝かしい活躍の陰には、知られざるドラマや、さまざまな悲劇も無数にあります。競馬をエンターテイメントとして楽しむなかで、時には馬と人間の関りを振り返り、より良いあり方に思いを馳せ、大切に考える機会を得ることで、これまでの長い歴史のなかで馬と人間が育んできた文化を少しでも理解し、守ることにもつながるのではないでしょうか。

馬と人間の共生が生み出すもの

今、あらためて馬と人間の関係が見直されています。かつては丈夫で力持ちだった馬が、人間を助ける関係でした。しかし最近では、例えばホース・トレッキングによる人馬と自然とのふれあいや、ホース・セラピーによる障碍者の機能回復、情緒教育などが注目されています。馬が人の心を癒し、傷ついた心身を回復させるのです。また、馬を森林や原野の生態系の管理者として活用することも考えられています。人と有用動物との関りを科学的に考えた新しい関係づくりの模索も始まっています。時代は移り変わっても、共に生きることで生まれる価値が必ずあるということを、あらためて気づかされます。

 
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