追いつめられる日々全3本

決められた物差しで序列化する社会

敗者がいるからこそ、勝者が光り輝く――。「競争」を否定する思想や理論が世界中で唱えられながら、現実社会の厳しい競争が無くならないのはなぜでしょう。それは、勝者が生き残るというシステムが、私たち人間社会の継続的な発展を支えてきたからです。例えば、学力や学歴など、決められた物差しによって人間の価値が測られ、序列化されるシステムです。しかし、競争による勝ち負けが、その人の全人格の価値をも決定づけてしまいかねない社会の力学は、人間が持つ本来の豊かさを見失わせてしまう危うさがあります。

自分の「居場所」を失うことへの恐怖

一方、私たちは、社会から疎外されないよう、自分の「居場所」を確保するための懸命な努力が求められます。コミュニケーション能力、いわゆる「コミュ力」です。「空気」を感じ取り、「ノリ」を大切にし、求められる「キャラ」を演じ、「場」に馴染みながら、周囲と協調したり、変容させていったりする能力です。所属する集団に受け入れられず拒絶されてしまうと、私たちは孤立し、生きるための「居場所」を失ってしまうのです。それは、家族・学校や職場・地域と、社会全体に及びます。

求めているのは他者からの「承認」

私たちは他者から「承認」されることで、社会に自分の「居場所」を確保し、生きています。「承認」の前提にあるのは、期待に応えるということです。例えば、親からの期待、職場や学校からの期待、友人やパートナーからの期待です。多様な価値観や個性を尊重するといわれながら、ある一面だけをとらえて能力や成果を比較され、人間を序列化しようとする社会の現実。他者からの「期待」に応え、「承認」を得られなければ、自らの価値を見いだすことすら難しい現実。そうしたプレッシャーを乗り越えていかなければ、私たちの社会では自分の「居場所」を見つけることができません。

「負けたら、終わり」という価値観の払拭を

自殺が若年層の死因の一位になっています。引きこもりや自殺、孤独死など、私たちが社会問題と向きあうなかで、「人はひとりでは生きていけない」ということを、あらためて感じさせられます。「負けたら、終わり」という価値観を払拭し、互いを支え合えるコミュニティのなかで、いかに自分の「居場所」を見つけることができるのかが問われています。今回の特集では、社会からのプレッシャーや孤立をいかに克服し、生き抜く力を得ることができるのか、その方法について考えるための3作品をお届けします。

 
0