調査報道の闘い全2本

報じなければ、「日の目を見ない事実」
ある事件や、社会問題に対し、警察や検察、行政機関、企業などの発表や記者会見、リークだけに頼らず、ジャーナリストが主体性と継続性を持って取材を積み上げ、新事実を突き止めていく報道のスタイルを、「調査報道」と呼びます。こうした報道姿勢は、高い取材能力が求められ、莫大な時間や経費、労力を要することから、報道の現場でも敬遠されがちな手法になってきています。しかしながら、「調査報道」は、そのジャーナリストが報じなければ、「日の目を見ない事実」であるという点で、社会に対して大きな意義を持つものです。

韓国の独立メディア「ニュース打破」
韓国・李明博政権下で不当解雇されたジャーナリストが中心となり立ち上げた独立メディアがあります。「ニュース打破(韓国探査ジャーナリズムセンター)」。彼らは、独自に2012年1月から報道を開始、2013年6月に非営利民間団体として設立。報道の独立性を確保するため、企業広告をとらず、公正な報道を求める後援会員からの会費で運営しています。政府発表を書き写すだけの「発表報道」ではなく、綿密な取材を通じて真実に迫る「調査報道」をめざしています。そして彼らが、世に送り出した2本のドキュメンタリー映画が、社会に大きな衝撃を与えました。

「共犯者たち」「スパイネーション/自白」
2本のドキュメンタリー映画を監督したのは、韓国の公営放送局MBCの名物ジャーナリストだったチェ・スンホ氏。「スパイネーション/自白」の韓国公開は、2016年10月。〈ろうそく集会〉が大きな盛り上がりを見せるなか、当時大統領候補だった文在寅(ムン・ジェイン)氏は、本作を観て「国家情報院の改革」を公約に加えたといいます。2017年8月に韓国で公開された「共犯者たち」は、26万人動員というドキュメンタリーとして異例の大反響を呼びました。こうして韓国保守政権の崩壊に影響を与えたチェ氏は、文在寅大統領の政権下で、MBCの社長に返り咲きます。

調査報道を支える社会を
権力を監視し、独自の調査で知られざる事実や隠蔽された真相を突き止める「調査報道」は、ときに政権を揺るがすほどの大きな力を持ちます。社会の裏側にある構造的な問題を掘り起こし、報じることが必要です。そうした調査報道の意義を認め、国民が支える社会でなければ、報道が権力者の宣伝機関になってしまうことを、日本でもあらためて意識しなければならないのではないでしょうか。

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