ネパール地震の記録全4本

「地震空白域」ネパールの災害が示したもの

東日本大震災から4年後の2015年4月、ネパールの首都カトマンズの北西77㎞付近を震源とする地震が発生しました。マグニチュードは7.8と推定されています。この地震で建物の倒壊や雪崩、土砂災害などが起き、日本赤十字社によると8856人が亡くなり、560万人が被災しました。カトマンズでは地割れや建物の倒壊が相次ぎ、歴史的な建造物や世界遺産も損傷。エベレストでは18人が死亡する大規模な雪崩が起き、その後も雪崩でさらなる死者が発生しました。ネパールを含む中部ヒマラヤは、かつて地震活動があったにもかかわらず長期にわたって震源がない「地震空白域」とされ、大地震の前兆といわれることのある地域。地震国・日本に住む私たちにとっても教訓となる映像記録を特集しました。

ヒマラヤ最大のライフライン「道」

道は、ヒマラヤ山脈に暮らす人たちにとって大切なライフライン。とりわけヘリコプターが飛行できない雨季(6月~9月)は、存在価値が高まります。人がすれ違うことさえ困難な細い道でも、多くの場合それが唯一の輸送路なのです。地震による地滑りは、救援物資のルートさえもふさいでしまいました。新たな落石や地滑りの恐怖と戦いながら、村人たちは総出で道づくりに取り掛かります。彼らが必死の思いで通した道のお陰で、ラバ追いやポーター(荷運び人)が物資を届けることができるのです。寒さや低酸素といった過酷な環境の中では、人も動物も無事とは限りません。道をつくる者も通る者も、命懸けなのです。

地域のつながりで災害を乗り越える

地震が破壊したものは建物や道路だけではありません。家とともに家族や友を失った人も多く、精神や肉体を病んだり、故郷を離れていったりする人もいます。避難所生活のストレスで、不調を訴える子どもや高齢者もいます。被災者の大半がそのような過酷な状況下でありながら、隣人を気遣い、過去の行いを自省する信心深さも持ち合わせている村人たち。彼らの思いやりや信仰心から、当たり前の日常がどれほど尊いことなのかを感じ取ることができます。映像の随所に見られるのが、住民の心が一つになる瞬間の高揚感。そこには地域の復興を支える、小さなコミュニティの胎動が感じられます。

 
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