教育がめざすもの全3本

集団教育に見る共産主義国家の実情

民族構成や国家規模など、多様性に富んだアジア諸国は教育制度もさまざま。各国の教育を知ると、その国の文化や宗教、歴史、価値観などが見えてきます。 中国には国技の武術を専門に学ぶ学校があります。功夫の聖地・少林寺がある河南省登封市は、武術学校が主幹産業。「万人武術体操」と呼ばれる集団演武に象徴されるように、徹底した集団教育が行われています。少林寺の出発点である仏教への信仰よりも、技術や体力、強さを求め、生徒たちに競い合わせる様子には、共産主義国家特有の管理思想が感じられます。中国には幼稚園世代から全寮制を敷く教育機関も存在。共働きの親が多いという実情を反映しています。

進化する宗教解釈が生み出す多様性と柔軟性

世界中で、さまざまな宗教団体が学校を設立しています。アジアにおいてもキリスト教、イスラム教、仏教など、宗教系の教育機関が存在。インドネシアにはイスラム教徒(ムスリム)のための寄宿制学校があり、教義の伝承に力を入れています。旧来の教義を重んじるだけでなく、時代に合ったイスラム法解釈を研究しているのがインドネシアの教育。学校では教師と生徒の対話を中心に授業を進めています。また、異教徒であっても敵視せず、理解し、共生を目指していることも特徴。豊かなコミュニケーションに支えられた柔軟な発想力が、国の活力にもつながっています。

変革へと舵を切った「世界トップ」の教育

「教育は国家百年の大計」といわれるように、人材育成こそが国家の要。学力格差が拡大する現代においては、教育における大きな課題の一つが「勉強ができない子どもの救済」です。世界トップクラスの学力を誇るシンガポールの教育界は、学力が低迷する子どもたちへのケアでも新たな取り組みを一部に導入。試験重視の詰め込み型から、教育内容の多様化による思考力を養成する教育への変革が図られています。シンガポールの教育予算は2020年度で国家予算全体の15.9%を占め、国防費、保険関連予算に次いで3番目に多い割合。天然資源を持たない国ならではの「人材こそが資源」という国家観が反映されています。

 
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