強制退去 奪われる人民全3本

民衆にとって最大の不満要因といわれる強制立ち退き

中国では2008 年の北京オリンピックを前に強制立ち退き問題が激化し、国際的な注目を浴びました。1990 年代後半から 2011 年までに、全農村の 43.1%で土地が収用されたという調査報告もあります。法的な根拠もないままに、住民が自宅や農地から立ち退きを強いられることが日常化しており、強制立ち退きは民衆にとって最大の不満の一つといわれています。多くの場合、立ち退きは唐突に行われます。住民は取り壊しの数週間前、ときには数日前に立ち退きを口頭で伝えられるか、近隣に突如として貼り出されるポスターで知るのです。立ち退きに際しては事前協議と通知が国際法で求められていますが、通知も協議もなされていないことが多く、正式な通知も行われていません。

抵抗する住民にはライフラインや血縁関係で圧力

立ち退きが発表されると、地元当局と開発業者が結託して住民に圧力をかけ始めます。土地を放棄し補償と移転に応じる同意書に署名を強要。抵抗する住民には、水道、暖房、電気などのサービスを止めるような圧力をかけます。住民が家を空けざるを得ない状況に追い込むのです。また、当局が頻繁に使うのが、住民の親族への圧力。住民の血縁を利用して立ち退きを迫るのです。例えば、立ち退きに同意するよう親戚を説得できなかった教師に学校長が停職処分を言い渡す、立ち退き予定地域に住む他の親戚を説得できたら、補償額を上げる、といったように飴と鞭を使い分けるのです。ほとんどの住民はこの執拗な圧力に屈してしまいます。

政府が規制に乗り出すものの補償は不十分

立ち退きに抗議した住民が、暴力や監禁、暴行などの被害に遭うこともあります。役人からの暴行もあれば、当局が雇った暴漢からの脅迫や暴力も。また。通報の無視や現場の到着遅れなど、警官の怠慢な態度も問題視されています。 政府は2011年に、都市部の立ち退きにおける暴力の使用を違法とする規定を設けました。都市部の住宅所有者には、公聴会での発言や市場価格に基づく補償などの権利を認定。しかし、問題の処理を最小限に留め、権利侵害を容認する当局者が多いのが実情です。さらに、近郊や農村部の住民に対しては保護策を認めておらず、地方に住む人びとは、補償金の面でさらに恵まれない状況が続いています。

 
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