ひとりぼっちの世界全3本

社会集団を離れて生きる人たちの暮らしに迫る

人間は、集団の中で暮らす“社会的動物”であると言われています。自己たる“個人”であると同時に、家族や地域、学校などの社会集団の中で暮らしていく存在でもあるのです。何らかの原因で社会的な共存状態を失い、長い間まったくの孤立状態に置かれたとき、人はどのように考え、どのように振る舞うのでしょうか。孤独な状況に置かれる要因は、その人の職業や生き方などさまざまです。「ひとりぼっちの世界」を追った3つの作品から、私たちは何を読み取っていけるでしょうか。

雄大な自然の中での孤独感と向き合う

観測所の仕事は、自然環境と数値がパートナー。数十年の間、登山家以外の人との関わりがほとんどないまま、山の中の小屋に勤務する学者の姿を追いました。終始無言で数値を計測し、記録していく毎日。天候が良い日も悪い日も変わらず続くルーティンの行動の中で、何を喜びに感じ、生きがいに感じるのか。雄大な自然の景観は彼女の目にはどう映るのでしょうか。山の仕事の厳しさ、寂しさと向き合う姿勢にも注目です。

消え去った故郷とともに余生を送る

生まれ育った故郷への愛着から、一人になってもその地を離れられない人がいます。一方で安全面や利便性を理由に、政府が転居を指示することもあります。周囲の誰もが故郷を後にし、自分一人が残ってしまったとき、人はどんな決断をするのでしょうか。人生に残された時間に自身の生き方を重ねた時、孤独を選ぶ人もいます。その地にとどまる理由は何なのか。どう暮らしていくのか。社会性とは何なのか。人生の最後の瞬間まで追った映像を観ると、さまざまな思いが胸に去来します。

動物の社会性とラジオに励まされる

羊飼いは数百頭の羊を連れて、山々を移動していきます。羊たちは羊飼いにとって大切なパートナー。口笛の合図に従い、行動する様子からは、羊飼いへの信頼が感じられます。家族と離れて数か月間、人里離れた山中で過ごす羊飼いにとって、ラジオは必需品。情報を得たり寂しさを紛らせたり、家族の代わりに羊飼いの心を癒やしてくれます。過酷な環境の仕事にも、「誰が羊の世話をするのか」と強い思いで立ち向かう姿に心を打たれます。

 
0