フィリピンの肖像全9本

フィリピン大統領選挙 優勢なのは二世たち

フィリピンでは今年5月9日、6年に1度の大統領選が実施されます。選挙では、大統領をはじめ副大統領、上院議員と下院のうち300議席、さらに地方議会1万8000議席が選ばれます。国の将来を大きく左右する極めて重要な選挙です。候補者たちは、新型コロナウイルスによって打撃を受けた経済の再建や、国民生活の向上、汚職の撲滅など、フィリピン社会が直面している様々な問題に取り組む姿勢を示しています。世論調査によれば、かつて独裁政治を行ったマルコス元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス元上院議員が支持率でトップ。そして、マルコス氏と組んで副大統領選に出馬するのは、ドゥテルテ大統領の長女、サラ・ドゥテルテ氏です。今回優勢なのは、いずれも大統領の二世たちです。

「ドゥテルテ路線」の継承か?脱却か?

一方、現副大統領のレニー・ロブレド氏は、マルコス氏の対立候補です。2016年の副大統領選挙では、マルコス氏を僅差で破って当選しましたが、今回の大統領選挙では支持が逆転しています。ロブレド氏は「ドゥテルテ路線」の脱却を訴えていますが、ドゥテルテ氏の根強い人気の高さからも、支持は伸び悩んでいます。特にドゥテルテ大統領の下で実施された“超法規的措置”も辞さない麻薬対策、南シナ海問題を巡る中国への対応に焦点が当たっています。また、マルコス氏の陣営がSNSを積極的に利用し、若い世代の支持を集めることに成功しているという見方もあります。その他の候補としては、元俳優でマニラ市長のフランシスコ・ドマゴソ氏、元国家警察長官のパンフィロ・ラクソン上院議員、国民的な人気を誇る元プロボクサーで上院議員のマニー・パッキャオ氏などが注目されています。

フィリピン社会は、変わるのか?変わらないのか?

フィリピン社会では、多くの課題が山積しています。短期的には、新型コロナ対策や失業対策と経済再生、そして財政再建です。外交政策の再構築も喫緊の課題です。中長期的には、貧困対策や麻薬・治安対策、汚職の防止、インフラ整備、エネルギーや水資源の確保、産業競争力の強化、教育や医療、福祉の充実、環境対策、財政健全化など、当然ながら、新大統領の手腕が問われるものばかりです。フィリピンは、アメリカとも中国とも関係が深い国だけに、誰が新たな大統領になるかによって、南シナ海やアジア太平洋地域での安全保障を巡る構図にも大きく影響することは間違いありません。新しい大統領が選ばれ、フィリピン社会は変わるのか?それとも変わらないのか?今、フィリピン国民はもちろんのこと、アジア諸国をはじめ国際社会が見守っています。

 

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