セウォル号の真実全3本

もはや他人事ではない、韓国史上最悪の海難事故

2014年4月16日朝、修学旅行中の高校生325人を含む一般の乗客と船員、計476人を乗せたセウォル号が海に沈みました。この事故は、乗客・乗員の死者299人、行方不明者5人、捜索作業員の死者8人を出し、韓国の海難史上最悪の惨事と言われています。事故原因については船体の故障や検査制度の不備、不適切な改造、過積載などが挙げられていますが、事故発生後の救助体制についても乗員や海洋警察の過失が問われています。奇しくも日本では2022年4月に知床観光船沈没事故が起き、船の整備不良や出航判断の無謀さ、通信手段の不備などが報じられました。セウォル号沈没事故を題材にしたドキュメンタリー作品を通して、海難事故の悲惨さや社会に与える影響などを自分事として考えてみましょう。

不正確な情報が錯綜し、救助活動も杜撰な人災

事故発生から4時間半後には安全行政部や対策本部が「368人が救助され、約100人が安否不明」、修学旅行中だった学校の関係者や京畿道教育庁は「生徒・教師338人が全員救助された」と発表。しかしその3時間後には海洋警察が「約300人の安否が依然不明」とするなど、各所で人数に関する情報の錯綜が見られました。人命救助にとって最も大切な初動でつまずきました。海洋警察は乗客の家族に虚偽の説明を繰り返し、民間のダイバーに罵声を浴びせたことで捜索活動参加者を激減させるなど混乱を拡大。事故当日に高速艇乗組員がおらず現場到着が大幅に遅れる、船内乗客の見落とし映像を隠蔽するなどの不祥事も相次ぎました。海洋警察は解体され、警察庁と国家安全処へ移管されました。

真相究明に立ちはだかる国家権力

事故発生からおよそ8カ月後の2015年1月に第1期調査委員会が発足しましたが、翌年6月に調査が終了。214の調査内容のうち、正式に調査終了し公開された内容はわずか1件でした。2017年7月には沈没の原因を調査する船体調査委員会が発足。翌年8月まで活動していましたが、調査報告書の沈没理由は「船体自体に欠陥があった」「外部衝撃」の2つで、詳細は謎のままでした。世論はこの内容に納得しなかったため、2018年12月末から「社会的惨事特別調査委員会」が活動を開始。国家情報院が秘密裏に遺族の情報収集を行い、そこで得た情報などをもとに世論操作用動画を、公費を使って作成していたことが報告され、波紋を呼びました。「真実を知りたい」という純粋な思いの遺族たちの戦いは終わりません。

 
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