取り残される人々全3本

「誰も取り残さない」SDGsは世界を変えるのか

2030年をゴールとする国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の基本理念は「誰一人取り残さない」こと。途上国を中心とした貧困、教育、ジェンダーなどの課題はもちろん、環境問題や、目標達成の手段である経済成長や雇用、技術、インフラといった項目にも言及し、先進国も含めた普遍的な目標を掲げています。SDGsが国連総会で採択されて7年。この間にも貧困や教育の問題は解消されず、環境破壊は進んでいます。国際目標であるにもかかわらず、改善の兆しが見えない「取り残される人々」が置かれた状況を特集しました。

成長著しいアジアで気候変動や環境破壊も進む

アジアでは経済成長が続く国が多く、かつての途上国も先進国の大量消費・大量生産型の生活スタイルを追従するようになりました。この傾向が進むと、気候変動や環境汚染がいっそう悪化する恐れがあります。2019年の国別二酸化炭素排出量は、1位が中国、3位にインド、5位に日本、7位に韓国とアジア諸国が上位。急速な工業化や森林の乱開発により、地球温暖化や環境破壊が進む原因を自らが作り出しているといえます。ヒマラヤの氷河は今世紀に入って以降、それまでの2倍の速さで溶けていることが明らかになりました。

無国籍者や難民の権利を誰が守るのか

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が2021年6月に発表した年間統計報告書によると、世界には2000万人超の難民がいます。欧州や北米で受け入れられているイメージが強い難民ですが、ロシアのウクライナ侵攻が起きるまでは、8割以上の難民を途上国が受け入れていました。また、UNHCRでは420万人の無国籍者を把握しています。無国籍者はどの国にも合法的に入国・在留することができません。社会保障の享受や教育の機会もなく、移動すらできない場合もあり、不当な待遇や人身取引などの犯罪に遭いやすくなっています。

下流域に深刻な影響を及ぼすダム建設

複数の国が河川や湖沼の流域を共有する「国際流域」は世界におよそ270存在しています。そして多くの地域で生じる問題が、上流と下流の「水争い」です。水の問題は、途上国も先進国も、ともに当事者たり得る共通の課題。国の安全保障にとって重要な資源でもあります。河川で圧倒的に有利なのは上流側。上流域でダム建設が進むと、ダムの貯水操作次第で、下流域では干ばつや洪水といった極端な水位変動に見舞われます。流域各国の情報共有や利害調整が課題です。

 
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