ダラムサラに生きる全3本

チベット民族の火を消さないために

インド北部の標高2千メートルの丘陵地帯に切り拓かれた町、ダラムサラ。ここには、約6千人のチベット人が暮らしています。チベットの最高指導者であるダライ・ラマ法王14世は、1959年の中国によるチベット侵攻から逃れインドへ亡命し、チベット亡命政府を樹立、翌年の1960年にダラムサラに拠点を置きました。以降、ダラムサラは、亡命チベット人の政治的中心であり、チベット仏教・チベット文化継承の拠点になっています。 

1949年に新たに誕生した共産主義の中国政府は、「チベットを外国の帝国主義による支配から解放する」として、約15万人の軍隊を派兵し、制圧。チベット全域を支配下に置きました。また、「大躍進」や「人民公社」「文化大革命」などの政策により、歴史ある寺院や仏教施設を破壊し、多くのチベット人を投獄、拷問、虐殺し、また大量の餓死者を出しました。文化大革命が終わるまでの約20年間、中国政府による圧政により120万人以上のチベット人の命が奪われたといわれています。

 

終わらないチベット人への弾圧

1990年代に入り、チベット人やチベット文化・言語に対する弾圧が再び強まりました。いわゆる「西部大開発」というスローガンのもと、政治的、軍事的な実力に加え、経済的、人口的な実力も加わり、チベット本土では、本来のチベット文化やチベット独自の文化の継承が極めて難しい状況になっていきます。 

2009年から現在までに、チベット本土では152人のチベット人が中国共産党の圧政に対し、焼身抗議をし、そのほとんどの人が命を落としています。この152人が求めていたのは、「ダライ・ラマ法王の帰還」や「チベットの自由」「チベット語とチベット文化の自由と保護」「チベットの自然環境の保護」などの声でした。

 

チベットの危機は、民主主義の危機

アジアンドキュメンタリーズでは、あらためてチベット問題と真正面から向き合ったドキュメンタリー映画をご覧いただき、少しでもチベットを知っていただく機会をつくりたいと考えました。ダラムサラは、チベットの人々にとって民族の危機と立ち向かう最後の砦となっています。戦後、自由と平和を大切にし、民主主義を守り続けてきた私たち日本人が、チベットの人々の苦しみに対し、沈黙し、無関心であってはなりません。

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