チベットを訪ねて全2本

知らないことを知る旅へ

多くの日本人は、チベット問題についてほとんど何も知りません。大きな事件や騒乱が起きるなどしなければ、日本の報道でチベット問題が取り上げられることは滅多にありません。だから、知らなくて当然なのかもしれません。しかし、知るということはとても大切なことです。知ることで私たちの生き方や価値観に大きな気づきや変化をもたらしてくれる可能性があるからです。2人の映像作家がチベットとそれぞれ素直に向き合った作品は、私たちに大切な機会を与えてくれています。
 

民族のアイデンティティーとは何か

私たちが日常生活の中で「日本人とは何か」と考える機会はそれほど多くはありません。それでも、日本人として守りたいもの、大切なものは、すぐに思い浮かんでくるでしょう。独自の文化、言語、生活様式、価値観、帰属意識などです。視点を世界に移した時、それらはより明確に見えてきます。なぜ、チベットの人々は、命をかけて闘い続けているのか。何を勝ち取ろうとしているのか。現実を知り、考えることで、チベット問題だけでなく、日本や日本人についても見えてくるのです。
 

アジアの中の日本

アジアに目を向けると、深刻な問題が次々と飛び込んできます。紛争、虐殺、貧困、人権侵害…。そこには、当然あるべき「自由」はなく、安定した生活もままならない中で、多くの人々が懸命に生きています。彼らの目には、日本という国がどのように映るのでしょうか。中国の拷問を受けたチベットの人々は、私たち日本人に「助けて」ではなく、ただ「忘れないでほしい」、「知ってほしい」という言葉を投げかけます。知るということがいかに重要なことなのか、あらためて考えさせられるのです。
 

アジアで唯一中国と渡り合える国

日本は、経済力で中国に抜かれ、経済大国としての存在感は低下して久しいですが、それでも日本に期待するアジアの人々は決して少なくありません。彼らには「日本は影響力があり、アジアで唯一中国と渡り合える国」という意識があるのです。日本は、自由と平和と民主主義を標榜する国です。その国の国民が、チベットの人々の苦しみに対して、無知で無関心であることは、残念なことのように思えてなりません。ひとり一人の日本人が、チベットの現状を知り、考えることで、世界が少しずつ動き出すのです。

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