韓国の熾烈な大学受験競争、大学試験スヌンに臨む姿をリアルに追うドキュメンタリー作品『SKYに届け!韓国受験戦争』

今回のドキュメンタリー映画紹介は、韓国の教育熱と学歴社会のリアルを描いた『SKYに届け!韓国受験戦争』です。ソウル大学、高麗大学、延世大学という名門「SKY大学」を目指す若者たちが、修能(スヌン)という全国統一試験に挑む姿を通して、韓国の受験戦争、教育制度、そして学歴社会の本質に迫ります。韓国の大学受験の過酷さと、そこに挑む受験生、家族たちの葛藤とリアルを描いたドキュメンタリー映画です。それでは、作品紹介をさせていただきます。
<作品紹介>
ドキュメンタリー作品タイトル:SKYに届け!韓国受験戦争
~加熱する韓国受験戦争の衝撃実態。名門大学SKYを頂点とした超学歴社会を描く韓国教育ドキュメンタリー~
原題 | REACH FOR THE SKY |
制作年/作品時間 | 2015年製作/作品時間90分 |
撮影地 | 韓国 |
製作国 | 韓国・ベルギー |
監督 | スティーブン・ドゥート、チェ・ウヨン |
受賞歴 | Tempo Documentary Festival (スウェーデン,ストックホルム)
One World International Film Festival (チェコ共和国)
Internazionale a Ferrara (イタリア, フェラーラ)
Millenium International Documentary Film Festival (ベルギー, ブリュッセル)
Enfances dans le Monde (フランス, パリ)
Toronto Reel Asian International Film Festival (カナダ, トロント)
Roshd International Film Festival (イラン, テヘラン)
Udine Far East Film Festival (イタリア, ウディネ)
Hong Kong Asian Film Festival (香港)
Olympia International Film Festival for Children and Young People (ギリシャ , アテネ)
Festival na Hlavu (Festival for Your Head) (チェコ共和国, プラハ)
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韓国の大学受験の壮絶さは世界に知られている。韓国では、名門大学“SKY”への入学が成功条件とされ、大学共通の入学試験「大学修学能力試験」(スヌン)では、ほぼ満点が求められるという。“SKY”とは、「S:ソウル大学」「K:高麗大学」「Y:延世大学」である。3校に合格するのは全学生の1%以下で、浪人する学生も多い。なぜなら韓国社会では入学する大学によって将来が決まると言っても過言ではないというほど、学歴社会。毎年、試験当日には、騒音を出すことを理由に航空機の飛行が制限され、遅刻しそうな受験生をパトカーで試験会場まで送り届けるニュース映像が世界を驚かせている。青春を勉強に捧げる受験生の素顔と、家族の葛藤に迫るドキュメンタリー映画。
[ドキュメンタリー作品・予告編]

韓国社会の根深い学歴信仰と、そこに生きる若者たちの熾烈な受験競争。『SKYに届け 韓国受験戦争』の見どころをお伝えする前に、韓国の教育事情に関して、名門大学「SKY(スカイ)」や大卒の就職率推移、受験戦争の弊害に関して、簡単に解説いたします。
<韓国の名門大学と教育事情や社会背景>
韓国では、大学の序列がそのまま人生の優劣を左右すると言われています。特に、ソウル大学、高麗大学、延世大学の3校は、いわゆる「SKY大学」として韓国国内で圧倒的なブランド力を持ち、政財界や大企業に進むための登竜門とされています。

■韓国の大卒者の就職率推移■
韓国の大卒者の就職率は、2011年67.6%、2015年67.5%、2020年65.1%となっており、日本の新卒就職率と比較すると30%も低い状況となっています。韓国のSKY(スカイ)3校でも新卒学生の就職率は6割後半から7割前半程度ですが、他の4年制の大学の就職水準より高いため、少しでも良い大学受験を目指す受験戦争につながっています。韓国の就職率が低下した要因は、大卒者数の増加と企業の採用抑制、産業構造の変化が複合的に影響しており、多くの若者が希望する職種に就けず、韓国の若者失業や就職難といった問題を引き起こしています。

<受験戦争の弊害>
■韓国の自殺率推移と背景■
韓国は1990年代後半から自殺率が急上昇し、2003年以降はOECD加盟国の中でも最も高い水準で推移しています。韓国保健福祉部とOECDの統計によれば、1990年の自殺率は約7.6人/10万人でしたが、2011年には31.7人/10万人と過去最高を記録。2020年でも自殺率は25.7人/10万人と高止まりしています。
韓国では10代から40代までの若中年層の自殺が多く、この背景には、過度な受験プレッシャー、雇用不安、家庭問題、精神疾患への支援不足などが複雑に絡んでいます。韓国の高い自殺率や精神疾患の問題は、教育だけでなく社会全体の構造的課題とも深く関係しているのです。
■受験戦争のデメリットとは?■
韓国の受験戦争のデメリットには、以下のような点が挙げられます。
精神的負担の増加:韓国精神疾患や韓国自殺率の高さに直結するようなストレス環境が続いています。
教育格差の拡大:富裕層がより質の高い教育を受けられる一方、低所得層は教育格差に苦しみ、格差が固定化されています。
創造性や多様性の欠如:暗記中心の学習が優先され、個性や創造力を伸ばす教育が軽視されがちです。
家庭関係の悪化:親からの過度な期待や干渉が親子関係に悪影響を及ぼすケースが多く見られます。
社会全体の効率低下:韓国の浪人生の増加や長期的な受験競争により、経済的・時間的コストが膨大になります。

<『SKYに届け!韓国受験戦争』ドキュメンタリー作品のみどころ>
本作は、韓国の超学歴社会において最も熾烈とされる大学受験(スヌン)に挑む受験生たちの姿と家族をリアルに追います。スヌンの受験日当日は、社会全体が大学受験を優先する一日となります。財閥企業や政治への道など将来が決まる受験戦争を舞台に、社会全体が抱える教育問題や格差、精神的ストレスといった重たいテーマにも深く切り込んでいきます。
深夜まで勉強する学生の姿や韓国の予備校文化、親子の衝突、親の教育熱、スヌン当日、合否発表の緊張感まで描かれており、臨場感を感じながら、過酷な教育事情を知ることができます。


■こんな方におすすめ■
『SKYに届け!韓国受験戦争』は、以下のような方に特におすすめです。
・韓国の受験制度や大学受験、SKY大学に関心のある方
・韓国の教育制度・予備校文化に興味がある教育関係者
・学歴社会や格差社会、就職難など社会問題に関心がある方
・教育ドキュメンタリーや教育映画を探している方
韓国の受験戦争は、社会構造や教育とは何かを考えさせられ、アジアに住む私たちにとっても他人事ではありません。日本と似て非なる韓国の熾烈な大学受験や教育格差や両親の教育熱の現実に触れることで、教育観や社会への理解を深めるきっかけになると感じます。ぜひ、ご視聴ください。
韓国の受験戦争は、社会構造や教育とは何かを考えさせられ、アジアに住む私たちにとっても他人事ではありません。日本と似て非なる韓国の熾烈な大学受験や教育格差や両親の教育熱の現実に触れることで、教育観や社会への理解を深めるきっかけになると感じます。ぜひ、ご視聴ください。

◇その他おすすめドキュメンタリーご紹介
教育ドキュメンタリーの関連作品では、今回ご紹介した『SKYに届け! 韓国受験戦争』以外にもヒマラヤ奥地・山岳農村の故郷を離れてネパール首都の寄宿学校で教育を受ける子どもと家族をテーマとしたドキュメンタリー映画『スノーランドの子どもたち』も公開されています。是非ご覧になって下さい。
[サイトURL:https://asiandocs.co.jp/contents/217]
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【コラム】おすすめ!必見作品『SKYに届け!韓国受験戦争』
アジアンドキュメンタリーズの配信作品の中から、今、特に注目されている人気の話題作をピックアップしてご紹介させていただきます。
ドキュメンタリー作品ページはこちらからご視聴下さい。
『SKYに届け! 韓国受験戦争』 https://asiandocs.co.jp/contents/154
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