特集「過酷な韓国社会」(全7本)
◆学歴至上主義の弊害といわれる若者の自殺やいじめ
韓国社会は「SKY」(ソウル大、高麗大、延世大)の3大学を頂点とする超学歴社会で、将来の成功のためには大学受験での成功が必須とされています。SKYに合格できるのは全学生の1%以下であり、競争の激しさから浪人する学生の割合は30%を超す状況。この熾烈な競争は若者に過度のストレスを与えており、高い自殺率の一因となっています。また、超競争的な教育システムに根差したいじめ「学校暴力」が深刻化しており、被害率は2021年以降4年連続で増加。特に小学生の被害率(5.0%)は過去最高を記録しました。加害者には進学の内申に記録が残る厳しい処分が適用されますが、この厳格な制度が学校現場の負担となるなど、根本的な問題解決が課題です。
◆労働意欲を削ぐ、格差拡大と労働条件の悪化
韓国の労働市場には、大企業と中小企業で所得が倍以上違うという深刻な格差が存在します。名門SKYの卒業生でさえ就職率が約68%(2017年)と、大卒者の就職率は悪化。若者は海外就職も視野に入れるほど厳しい状況にあります。一方、エッセンシャルワーカーは低賃金と人手不足が慢性化。一人当たりの業務負担が過大になり、長時間労働による過労死が社会問題化しています。また、絶え間ない邪魔や終わらない会議など、仕事の組織化におけるシステム的な問題が、毒性の高い労働環境を生み、バーンアウト(燃え尽き症候群)につながるとも指摘されています。
◆社会に根強く残る、さまざまな差別
韓国社会には人種差別や高齢者差別、ジェンダー不平等など、さまざまな差別が存在します。約3万4千人の脱北者は、資本やスキルの不足から生計に苦労し、貧困により餓死する事件も発生。しかし彼らが韓国社会で成功すると、激しい嫉妬や差別の対象となり、「安い労働力と見られている」「韓国人より上には行かせないという空気がある」と訴える脱北者の声があります。また、障害を理由とする差別は法律上禁止されていますが、依然として社会的な障壁や差別意識が存在します。25万人を超える発達障害者に対しても、支援サービスや政策が不足。過度な介護の負担から、親が子どもを殺害したり自殺したりする事件が毎年繰り返されています。
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