ラクダの動物調教を通じてモンゴルとの異文化交流&動物との絆を描くドキュメンタリー映画『北極のラクダ』

今回のドキュメンタリー映画紹介は、ノルウェーの家族がモンゴルの遊牧民と出会い、異文化交流とフタコブラクダの調教を通じて動物との共生を深める感動的なドキュメンタリー作品『北極のラクダ』です。本コラムでは、見どころや作品紹介をさせていただきます。
<作品紹介>
ドキュメンタリー作品タイトル:北極のラクダ
~ノルウェー家族のラクダをモンゴル牧畜業の調教師が動物調教!異文化交流と動物との絆を描く感動の動物ドキュメンタリー~
原題 | THE ARCTIC CAMELS |
制作年/作品時間 | 2019年製作/作品時間75分 |
撮影地 | ノルウェー、モンゴル |
製作国 | ノルウェー |
監督 | カール・エミル・リカルドセン |
2頭のラクダ(フタコブラクダ)をペットに迎えたノルウェーの家族が、ラクダに乗るためにモンゴルの調教師を訪ねた。モンゴルの雄大な自然と数百頭のラクダの群れに圧倒されたが、調教に対する考え方のギャップも肌で感じる。ノルウェーに帰国後、モンゴルの名人を招いて自分たちのラクダの調教を依頼。しかし「モンゴル流」のハードな動物調教は、彼らの心を傷つけた。「家畜」と「ペット」の違い、ラクダが持つ役割の違い、生活環境の違い……異文化との出合いから生まれる不協和音を、彼らは乗り越えていけるのか。動物との共生は憧れだけでは成り立たない、人と人、人と動物それぞれの信頼関係の大切さを訴えかけるドキュメンタリー作品だ。
[ドキュメンタリー作品・予告編]

<『北極のラクダ』ドキュメンタリー作品の概略>
ノルウェーに住むある家族は、ペットとしてラクダを飼育することを決意します。しかし、ラクダの調教や飼育方法に悩み、モンゴルの遊牧民が持つ伝統的な調教技術に注目します。家族はモンゴルを訪れ、現地の動物調教師からラクダの調教方法を学びます。この過程で、家畜動物としてのラクダとペットとしてのラクダの違い、そして動物との信頼関係の築き方を深く理解していきます。
本作品の見どころをお伝えする前に、本作品の主役となるラクダやモンゴル遊牧民に関して、簡単に解説いたします。

<解説!ラクダの種類と生態的特徴>
■ラクダの種類■
ラクダは主に2種類に分類されます。
①フタコブラクダ(Bactrian Camel)
・モンゴルや中央アジアに生息
・2つのこぶに脂肪を蓄え、寒暖差の激しい環境でも生き抜く
・乾燥地帯に適応し、長時間水なしで過ごせる
②ヒトコブラクダ(Dromedary Camel)
・中東や北アフリカに生息
・1つのこぶを持ち、砂漠の厳しい環境に適応
・速度が速く、移動手段として重要な役割を果たす
■ラクダの食事とサボテン■
ラクダは雑食性で、乾燥地帯でも生き抜くための特殊な食性を持っています。主食は木の葉や草ですが、砂漠ではトゲのあるサボテンを食べることができるのが特徴的です。これは、「口内が厚くトゲを避けながら食べる能力がある」「消化器官が発達し、硬い植物も効率的に分解できる」ためです。また、ラクダは、1度に数リットル〜数十リットルの水を飲むことができ、余分な水分は血液中に貯めることができ、長時間水を摂取しなくても生存できる体の仕組みを持っているため、極端な環境に適応できます。
■フタコブラクダの生態と役割■
モンゴルに生息するフタコブラクダは、アジア最大級のゴビ砂漠のような乾燥した環境でも強く生き抜くことができ、遊牧民の生活を支える重要な家畜動物となっています。ラクダが出す乳は栄養豊富で、鉄分やビタミンCを多く含み、発酵飲料「インゲニーホールモグ」として親しまれ、モンゴルの特産品にもなっています。また、ラクダの毛皮は防寒具に利用され、その肉も食用として重宝されています。ラクダはモンゴルの牧畜業や遊牧民の生活に欠かせない重要な存在です。

<解説!モンゴル遊牧民の暮らしとラクダ調教>
■モンゴルにおける牧畜業と家畜動物の種類■
モンゴルでは牧畜業が経済の中心であり、約3,000年以上の歴史を持つ伝統的な産業です。主な家畜動物には、ラクダ、馬、山羊・羊、牛などがあげられます。
モンゴルの遊牧民は、厳しい自然環境の中で家畜とともに暮らし、伝統的な技術と生活を受け継いできながら遊牧文化を築き上げてきました。
ラクダ(フタコブラクダ) | 移動や乳製品用 |
馬 | 移動やレース用 |
ヤギ・羊 | 毛皮や肉、乳製品用 |
牛(ヤク) | 農業や乳製品用 |
モンゴルの遊牧民は、厳しい自然環境の中で家畜とともに暮らし、伝統的な技術と生活を受け継いできながら遊牧文化を築き上げてきました。
そしてモンゴル遊牧民は、動物とのコミュニケーションを大切にし、ラクダの調教においても動物愛護の精神を持ちながら、効果的な調教方法を用いています。

■ラクダ調教師の仕事とは?■
モンゴルの遊牧民の中には、ラクダの調教師として専門的な技術を持つ人々がいます。彼らの仕事には以下のようなものがあります。
・調教の基本動作を教える(立ち上がる、歩く、荷物を運ぶ)
・人間との信頼関係を築く(穏やかに接し、ストレスを減らす)
・声やジェスチャーで指示を出す(特定の音で動きを制御する)
調教師の技術は、長い年月をかけて受け継がれ、モンゴルの遊牧文化の一部として今も生き続けています。
このドキュメンタリーでは、モンゴルの調教師がラクダの生態を理解し、動物との信頼関係を築きながら調教を行う姿が描かれています。
<『北極のラクダ』ドキュメンタリー作品の見どころ>
ノルウェーに住む家族が迎い入れた動物はラクダ2頭。オスの「ボル」とメスの「ベストラ」で名づけられています。『北極のラクダ』は、北極圏に住むことになったラクダとの動物共生と、モンゴルからの調教師との交流を描いた感動的なドキュメンタリー作品です。ノルウェーの家族がモンゴルの遊牧民と出会い、ラクダの調教を通じて異文化理解を深める本作品は、モンゴルの壮大な自然や遊牧民の伝統文化、そしてラクダの生態や調教技術など、見どころが満載です。調教という厳しいスタイルに目を背けたくなるシーンもありますが、動物との信頼関係やコミュニケーションの大切さを再認識させられる作品でもあります。

■視聴におすすめの方■
・動物ドキュメンタリーが好きな方:ラクダの生態や調教の様子が詳しく描かれており、動物ドキュメンタリーとしての魅力が詰まっています。
・異文化交流や異文化理解に興味がある方:ノルウェーとモンゴルという異なる文化を持つ人々の交流が描かれており、異文化理解の重要性を感じることができます。
・家族向けのドキュメンタリーを探している方:家族で楽しめる内容となっており、動物愛護や家畜とペットの違いなど、教育的な要素も含まれています。
・動物調教師や牧畜業に関心がある方:モンゴルの伝統的な調教技術や牧畜業の実態が紹介されており、専門的な視点でも楽しめる内容です。
『北極のラクダ』は、動物との関わり方や異文化理解の大切さ、家族と動物との絆を感じさせてくれる作品です。北極圏に住むラクダ自体、大変珍しいことですが、クリスマスとラクダというはなかなか目にすることができないシーンも記録されています。ぜひご覧いただき、新たな発見と感動を味わってください。
◇その他おすすめドキュメンタリーご紹介

◇その他おすすめドキュメンタリーご紹介
動物やモンゴルの関連作品では、今回ご紹介した『北極のラクダ』以外にも、自閉症の子供を癒すホースセラピーをテーマとしたドキュメンタリー映画『ザ・ホース・ボーイ~奇跡の旅~』も公開されています。こちらも感動的な作品ですので是非ご覧になって下さい。
[サイトURL:https://asiandocs.co.jp/contents/140]
【コラム】おすすめ!必見作品『北極のラクダ』
アジアンドキュメンタリーズの配信作品の中から、今、特に注目されている人気の話題作をピックアップしてご紹介させていただきます。
ドキュメンタリー作品ページはこちらからご視聴下さい。
『北極のラクダ』 https://asiandocs.co.jp/contents/424
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