特集「現代の魔法使い」(全2本)

◆超常的な力で人々を救おうとするシャーマン
「魔法使い」という言葉は、今もファンタジーの世界で生きていますが、じつは現代でも神や精霊と交流し、神が人に乗り移ったり夢に現れたりして意思を告げたり、普通なら見通せない未来の出来事や有様を予言したり、病気を治したり、神仏を祭る儀式を行ったり、超常的な力で人々を救おうとする宗教的職能者がいます。「シャーマン」と呼ばれる彼らは、非科学的な存在と思われがちですが、彼らに帰依する現代の人々は後を絶ちません。不安に苛まれる現代人の心を救う存在として、むしろ求められているのです。
 
◆宗教で「魔法」のように望みがかなうのか
一方で、救いを求める人々に対し、「金を積めば解脱できる」といった教えを広め、信仰心の篤い人々からどんどん寄付を募り、社会問題に発展する事件も起きています。信じれば、まるで「魔法」のように望みがかなうと教え、寄付は徳を積むこととして財産を寄進させるのです。それこそ信者が「魔法」にかかってしまったように宗教依存に陥ってしまい、彼らが金集めに利用される実態もまた、現代の宗教のありかたを問うべき大きな問題です。
 
◆今なお「呪術」や「魔法」を信じる人が少なくないインド社会
世俗的な宗教が蔓延るなかで、インドにはあらゆる物質的・世俗的所有を放棄し、肉体に様々な苦行を課すことや、瞑想により最終的な解脱を得ることを人生の目標としている修行者がいます。「サドゥー」と呼ばれる修行者は衣服さえ放棄し、ふんどし一枚や全裸で生活し、髪を切らず、髭も剃らず、聖なる灰を体に塗っています。サドゥーは苦行により人々のカルマを打ち破るとされているため、今なお「呪術」や「魔法」を信じる人が少なくないインド社会で、聖者として一定の尊敬を受ける存在なのです。

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