アフリカと中国全3本

アフリカへの影響力を強める「一帯一路」

中国とアフリカ、ヨーロッパをつなぐ巨大経済圏構想「一帯一路」。習近平国家主席が実現に力を入れるこの構想によって、中国はアフリカへの進出を加速させ、あらゆる分野で影響力を拡大させてきました。アフリカの海の要衝といわれるジブチには、人民解放軍が海軍基地を設置。また、ケニアやエチオピアへの鉄道を新たに敷設するなど、物流の大動脈を築いています。さらには、電力やインターネット通信網、電子マネーシステムなど、インフラ整備や国の基幹システムの構築にも深く関与しています。

アフリカは〝中国の夢〟実現の最前線

中国の影響力拡大は、教育や文化面にも及んでいます。経済だけでなく、中国の言葉や思想、社会システムをアフリカに広げ、植えつけようとしているのです。そこには、中華民族の偉大な復興を〝中国の夢〟とする思想があります。優れた中華民族が、一致団結して世界文明の中心に復帰し、主導することをめざしているのです。アフリカは、まさに中国による圧倒的な経済力の優位を利用した〝中国の夢〟実現の最前線であり、中華民族の優越感と自尊心を満たす最後のフロンティアなのです。今年4月に広東省で激しい黒人排斥運動や人種差別が相次いだことは、そうした中華民族のアフリカを蔑む心理が表出した一例といえます。

「債務の罠」による貧困国の植民地化

そうした現実に、アフリカでは軋轢や反発も生じています。中国への不信感は、アフリカの民衆にまで浸透し始めています。「なぜ中国は、われわれを騙そうとするのか」。中国に膨大な借金を負ったアフリカの貧しい国々は、返済が滞り、実質的な植民地状態に陥っているのです。それを「債務の罠」と呼び、「新植民地主義」だと非難する声が世界で高まっています。このような「債務の罠」は、アフリカにとどまらず、「一帯一路」構想に取り込まれたアジアの周辺国にも深刻な影響をもたらしています。さらに米中対立が深刻化することで、国際政治における駆け引きが活発になり、経済も社会も不安定化しています。

考えることの大切さ――日本は、どう向き合うべきか?

今回の特集では、中華ナショナリズムが押し寄せる最前線アフリカの現状を取材したドキュメンタリー3作品をお届けします。こうした作品から考えていただきたいのは、同じくアジアの先進国である日本が、台頭する中華ナショナリズムとどう向き合うべきか、です。ますます激化する米中対立は、今後ますます日本のかじ取りを難しくします。私たち一人ひとりが考え、意見を持つことで、国を動かす大きな力につながっていきます。

 
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