特集「望まれない誕生」(全3本)

◆根強く残る父系・男系社会が落とす影
全ての民族にとって子どもは愛の結晶であり、繁栄の源。男女の性別に関わらず大切な存在です。しかし、宗教的観念や伝統的価値観が強い地域では、いまだに男系の系譜にこだわる民族や部族が存在します。一夫多妻を認める国や、女性の人権を制限している国。自由主義とは異なる立場の社会の中では、女性に特定の役割を求める例も少なくありません。私たちが享受している自由や平等は、決して当たり前でも、普遍的でもないのです。男が主導してきた社会に根強く残る旧来の価値観を、どう変えていくべきか。生まれてくる子どもたちを誰一人不幸にしないために、今も存在するさまざまな問題や障壁を認識することも大切です。
 
◆国際養子縁組に積極的だった北欧諸国
北欧諸国では国際養子縁組でアジア系の養子を積極的に受け入れた時期があります。ノルウェー統計局によると、1986年から2020年までにアジアやアフリカ、中南米から約1万5000人が国際養子縁組で迎えられました。国際養子を送り出す側には、シングルマザーで子育てすることが難しいことなど、社会的、経済的な理由があります。一方で、過去には養子を偽装して人身売買を行ったり、子どもを不法に連れ去ったりした団体も存在。不法な養子縁組などを規制するハーグ条約の実施や、送り出し国の経済状況が向上したこともあり、現在では国際養子縁組は減る傾向にあります。
 
◆親のエゴに振り回される子どもたち
世界的に人口爆発が続く中、アジアでは出生率の低下が顕著になっています。日本や中国、韓国などは言うに及ばず、インドを含む南アジアでも合計特殊出生率が2.28(推計)と、1970年代の半分以下にまで低下しています。かつて人口爆発を懸念して“一人っ子政策”を導入した中国では、経済成長とともに少子化リスクが台頭。2015年に政策を撤回しました。官製の“理想の家族像”が大きく変化する中、親のエゴに人生を左右される子どもたちがいます。そこに見えるのは、愛情や期待の格差。子どもというかけがえのない存在を通して、親も成長してゆかねばなりません。映像を通して考える機会を用意しました。

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