イスラエルとパレスチナの未来を紡ぐ子ども達の交流を描く「プロミス」ドキュメンタリー映画

今回のドキュメンタリー映画紹介は、イスラエルとパレスチナの両国に住む子どもたちの視点から描かれたドキュメンタリー映画「プロミス」です。パレスチナ問題の歴史やヨルダン川西岸、ガザ地区の現状や課題などを考えさせられ、中東和平の未来を担う子どもたちの想いに共感できる一作。それでは作品紹介をさせていただきます。
<作品紹介>
ドキュメンタリー作品タイトル:プロミス
~パレスチナ問題の歴史を刻むパレスチナ・イスラエルの子どもたちの交流に託される二国家解決の未来!ドキュメンタリー映画~
原題 | PROMISES |
制作年/作品時間 | 2001年製作/作品時間104分 |
撮影地 | パレスチナ、イスラエル |
製作国 | アメリカ |
監督・プロデューサー | ジャスティーン・シャビロ、B.Z.ゴールドバーグ |
受賞歴 | 2002年 The NBR Freedom of Expression Citation National Board of Review
2002年 The Michael Landon賞: Community Service to Youth Twenty-Third Annual Young Artist賞受賞
2001年 エミー賞 ベストドキュメンタリー賞受賞
2001年 エミー賞 最優秀バックグラウンド分析賞受賞
2001年 ロッテルダム国際映画祭 視聴者賞:ベストフィルム賞受賞
2001年 Munich映画祭 Freedom of Expression Award賞受賞
2001年 エルサレム映画祭 特別フェスティバル賞受賞
2001年 ロカルノ国際映画祭 Festival Special Ecumenical:Jury賞受賞
2001年 サンフランシスコ国際映画祭実行委員会 視聴者賞受賞
2001年 サンフランシスコ国際映画祭実行委員会 ベストドキュメンタリー:グランド賞受賞
2001年 サンフランシスコ国際映画祭実行委員会 ベストドキュメンタリー:ゴールデンゲート賞受賞
2001年 サンフランシスコ国際映画祭実行委員会 ドキュメンタリーフィルム賞受賞
2001年 バンクーバー国際映画祭 視聴者賞:Diversity in Spirit賞受賞
2001年 Hamptons国際映画祭 ベストドキュメンタリー賞受賞
2001年 サンパウロ映画祭(SPFF) 視聴者賞:ベストドキュメンタリー賞受賞
2001年 バリャドリード国際映画祭(SEMINCI) ベストドキュメンタリー賞受賞
2001年 Paris国際映画祭 (Rencontres) 視聴者賞:ベストフィルム賞受賞
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パレスチナ・イスラエルの国境を超えた子供達の交流を描くドキュメンタリー。ほんの20分と離れていない所に住んでいるのにお互いのことを全く知らないパレスチナとイスラエルの子どもたち。 敵対する社会に暮らしながら、彼らは互いへの興味を募らせます。監督B.Z.ゴールドバーグの提案により、彼等は一日だけ一緒に過ごす事になるのですが・・・。 7人の子供たちのありのままの日常を追いながら、「人はなぜ憎みあわなければならないか」を問いかけます。
[ドキュメンタリー作品・予告編]

<『プロミス』ドキュメンタリー作品の概略>
ドキュメンタリー映画「プロミス」は、イスラエルとパレスチナの紛争という長年にわたる対立の中で生きる子どもたちを追った作品です。本作は、ユダヤ人とアラブ人の対立が続く中東地域に住む子どもたちの視点を通して、パレスチナ問題の歴史や日常生活における苦悩、希望を描いています。
本作では、異なる背景を持つ7人の子どもたちが登場し、彼ら育った環境と目を通して民族間の対立や中東の人権問題が浮き彫りになります。子どもたちは、それぞれの環境や教育の影響を受けながらも、平和に向けた想いを持つこともあれば、時には憎しみにとらわれることもあります。


■印象的なシーン■
イスラエルとパレスチナ両国の子供たちのリアルな生活と想いは視聴者に深い問いを投げかけます。ユダヤ人、アラブ人の少年少女たちが交流を試みていく姿は印象的で、民族間の対立やイスラエルの入植政策によって影響を受けてきた背景、これまでの紛争、パレスチナ問題に直面してきた環境に大きく左右されてきたことが伺えます。

<両国を取り巻く様々な問題・政策を簡単解説!>
■中東問題・パレスチナ問題とは■
パレスチナ問題は、1948年のイスラエル建国以来、継続している紛争の中心的な課題です。中東戦争の影響を受け、イスラエルとアラブ諸国の間で繰り広げられた衝突の中で、多くのパレスチナ難民が発生しました。
パレスチナ人は自らの土地を奪われたと感じ、イスラエルは建国以来の国家防衛の必要性を強調しています。この対立は単なる領土問題ではなく、中東の宗教対立や歴史的背景を含む複雑な問題であり、世界で最も解決が難しい問題とされています。
■イスラエルの入植政策とは■
イスラエルの入植政策は、ヨルダン川西岸や東エルサレムといったパレスチナの領土内にユダヤ人の入植地を建設する政策を指します。この政策は、パレスチナ側からは領土の不法占拠とみなされ、和平交渉の障害となっています。国際社会の多くはこの政策を問題視しており、国連をはじめとする国際機関は二国家解決の妨げとなるとして非難を続けています。
■インティファーダとは■
インティファーダとは、パレスチナ人によるイスラエルに対する抵抗運動のことを指します。特に、1987年の第一次インティファーダと2000年の第二次インティファーダが有名です。インティファーダは、パレスチナ解放機構(PLO)や他の組織による抵抗活動として展開され、イスラエルの軍事行動との間で多くの犠牲者が発生しました。
■シオニズム運動について■
シオニズム運動は、19世紀末に始まったユダヤ人の国家建設を目指す運動です。この運動の結果、1948年にイスラエルが建国されましたが、それと同時にユダヤ人とアラブ人の対立が激化しました。
特に、ホロコーストによって多くのユダヤ人が犠牲となったことが、イスラエル建国の正当性を強調する要因となりました。しかし、パレスチナ人の視点では、自分たちの土地が奪われた歴史として認識されており、これが現在の対立の根本的な原因となっています。

<ドキュメンタリー作品「プロミス」の考察>
「プロミス」は、パレスチナ問題や中東戦争の影響を受ける子どもたちが、どのように世界を見ているのかを知る貴重な作品です。パレスチナ解放機構(PLO)の存在や、エルサレムの地位に関する議論なども絡みながら、現実の厳しさと未来への希望の両方を感じ取ることができます。
シオニズム運動やホロコーストといった歴史的背景があり、現代のイスラエル・パレスチナ問題の解決が世界で一番困難とされていることを改めて考えさせられます。一方で、国際社会が模索する二国家解決の可能性や、中東和平プロセスの難しさはありながらも、ユダヤ人とアラブ人の対立に対して、政治とは離れた立場の子ども達が解決の糸口を見つけようとしている姿には未来への希望を感じることができ、パレスチナ難民の現状やイスラエルの入植政策への実際の声、中東の未来のために何ができるのか、国際社会や個人としての役割についても考えさせられます。

<社会を生き抜く力を養うドキュメンタリー作品はこんな方におすすめ!>
「中東問題や国際関係に関心のある方」、「パレスチナ問題の歴史や中東の宗教対立について深く学びたい方」「教育や人権問題に関心がある方」「平和構築や国際協力に関心のある方」には特におすすめです。
ドキュメンタリー映画「プロミス」は、イスラエルとパレスチナの紛争という大きな問題を、子どもたちの視点から描いた貴重な作品です。ユダヤ人迫害の歴史やパレスチナ難民の問題、そして中東和平プロセスの現実に触れることで、視聴者はより深い理解を得られる作品だと感じました。中東の未来について考えるきっかけを提供します。ぜひ、「プロミス」を通じて、イスラエルとパレスチナの子供たちの現実に目を向けてみて下さい。
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