インドの食文化を彩る伝統的な飲み物『マサラチャイ』とチャイワラのドキュメンタリー映画


 

今回のドキュメンタリー映画紹介は、インドの食文化において重要や役割を果たしている飲み物『マサラチャイ』です。チャイワラと呼ばれるチャイ売りの姿を通じて、チャイの魅力とインドのリアルな日常を美しい映像ともに感じることができるドキュメンタリー映画です。それでは作品紹介をさせていただきます。
 

<作品紹介>

ドキュメンタリー作品タイトル:マサラチャイ

~インドの日常を映すチャイ売り「チャイワラ」の物語!紅茶文化とインドの食文化を彩るドキュメンタリー映画~

 
原題  Masala Chai
制作年/作品時間  2017年製作/作品時間75分
撮影地  インド
製作国  ドイツ
監督  マルコ・ヒュルサー
 
インド式のミルクティー「チャイ」を売ることを生業にした5人の日常を映像に収めた作品。プネーでチャイ専門のカフェを経営する実業家は、品質へのこだわりや店内設備で付加価値を付け、路上では10ルピーのチャイを80ルピーで売る。コルカタの娘は、チャイ売りで両親を支える一方で、自立する未来を夢見ている。デリーのチャイ売りは、10歳の頃から働いて病弱の父を支えた。ムンバイの撮影所でチャイを売る男は「映画業界は宗教もカーストもない」と胸を張る。ダージリンには、娘の成長を生き甲斐にチャイ屋台を営む母親がいた。チャイ売りの仕事に愛着を持ちながら悩みも抱えている、等身大のインド人の暮らしを窺い知ることができるドキュメンタリーだ。

[ドキュメンタリー作品・予告編]
 



<マサラチャイについて>


■マサラチャイの発祥と歴史■

チャイの歴史はインドの紅茶文化と密接に関係しています。インドが紅茶の生産地として発展した背景には、19世紀の英国統治時代が影響しています。しかし、インドの飲食習慣に紅茶が根付いたのは、チャイワラ(チャイ売り)たちが市場や路上で提供するマサラチャイの存在が大きいとされています。紅茶にスパイスとミルクを加えることで、独自の味わいが生まれ、インド全土で愛されるようになりました。

 

■マサラチャイの作り方とレシピの特徴■

マサラチャイは、茶葉、スパイス、ミルク、砂糖を煮込んで作るインドのミルクティーです。代表的なスパイスには、カルダモン、シナモン、クローブ、ショウガなどがあります。これらのスパイスが持つ健康効果、例えばカルダモンの抗酸化作用による血行促進、クローブの抗菌作用、ショウガの栄養効果などマサラチャイは単なる飲み物ではなく、アーユルヴェーダにも関連した伝統的な健康法の一つとされています。アーユルヴェーダ(※)では、マサラチャイは「体を整える飲み物」として重視され、バランスの取れた健康維持に役立つと考えられています。 また、地域ごとにチャイのバリエーションが存在し、マサラチャイのレシピも異なります。例えば、ムンバイでは濃厚で甘いチャイが好まれる一方、デリーではスパイスが強めの風味が特徴です。さらに、カシミール地方では緑茶ベースの「ヌンチャイ」も人気があります。
 

◇アーユルヴェーダに関するミニ解説◇

アーユルヴェーダは、5000年以上の歴史を持つインド発祥の伝統医学で、健康維持や病気予防に重点を置き、食事、運動、瞑想、薬草療法などを通じて、体と心のバランスを整えることを目的としています。インドではアーユルヴェーダは現代医学と並ぶ重要な医療体系の一つとして扱われています。

  

<インドの飲食文化とマサラチャイ>

インドの茶園で生産される紅茶は、世界でも高品質なものが多く、アッサムやダージリンといった茶葉が有名です。これらの茶葉を使ったマサラチャイは、ストリートフードとして市場や駅、街角のチャイスタンドで提供され、インドの人々の生活に欠かせない存在となっています。
また、マサラチャイに合うお菓子として、「サモサ」や「バラフィ」、「パラクパコラ」などがあり、インドの家庭ではお茶の時間にこれらの軽食を楽しむ習慣があります。

 

■チャイの料金例■

インド国内では、チャイの価格は販売場所によって異なるようです。ご参考の料金例をご紹介します。

ストリート販売のチャイ 5〜15ルピー  (約10〜30円)
カフェのチャイ 50〜150ルピー  (約90〜270円)
高級レストランのチャイ 150〜400ルピー  (約270〜720円)

インドのストリートで気軽に楽しめるマサラチャイは、日本の缶コーヒーよりも手頃な価格で味わえるのが魅力です。

 

■チャイワラとインドのチャイ販売事情■

インドでは、「チャイワラ」と呼ばれるチャイ売りが街中の至るところに存在します。チャイワラは駅前、市場、オフィス街などで小さな屋台を構え、通勤・通学中の人々に温かいチャイを提供しています。
詳しい統計はありませんが、インド国内には約1,000万人以上のチャイワラがいると推定でき、彼らはインドの飲食文化を支える重要な存在となっています。また、チャイワラたちは伝統的な方法で紅茶を煮出し、巧みに注ぐ独自の技術を持っています。この職業は、インド国内の雇用創出にも貢献し、チャイワラの方々がインド中の食生活に関与しています。


<『マサラチャイ』ドキュメンタリー映画の魅力!視聴おすすめの方>


 

「マサラチャイ」作品は、単なる飲み物の紹介ではなく、インド各地の5人のチャイワラを通じて、インドの食文化や社会背景を感じられるドキュメンタリーです。インドの市場やストリートフードのシーンでは、チャイワラたちが巧みにチャイを淹れる姿が映し出され、その臨場感あふれる美しい映像は必見です。
本作は、どんな方にもおすすめのドキュメンタリー映画ですが、特に「インドの飲み物や食文化に興味がある方」、「マサラチャイの作り方や現地の事情を知りたい方」、「チャイの歴史を学びたい方」、「アーユルヴェーダやスパイスに関心がある方」、「食に関するドキュメンタリーを楽しみたい方」など是非、お楽しみいただければと思います。
マサラチャイを深く知ることで、インドの食文化やカフェ文化の魅力がより一層感じられると思います。ぜひこのドキュメンタリーで本場のチャイの世界を体感してみて下さい。

【コラム】おすすめ!必見作品『マサラチャイ』

アジアンドキュメンタリーズの配信作品の中から、今、特に注目されている人気の話題作をピックアップしてご紹介させていただきます。

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