現代社会の深刻な問題ひきこもりの最新状況に迫る『HIKIKOMORI フランス・日本』ドキュメンタリー映画

現代社会が抱える深刻な問題「ひきこもり」。日本では、8050問題や若年層の失業率の上昇など、社会的孤立が深刻化しています。欧州・フランスでもコロナウィルス感染症が蔓延する環境で「HIKIKOMORI」が深刻な状況を招いています。フランスと日本のひきこもりの現状を比較しながら、引きこもりの原因、社会的影響、そして社会復帰への道を探るドキュメンタリー作品『HIKIKOMORI フランス・日本』をご紹介をさせていただきます。
<作品紹介>
ドキュメンタリー作品タイトル:HIKIKOMORI フランス・日本
~コロナ禍で進んだ若者の失業率と直面する8050問題!引きこもり問題の背景と海外の比較で探る社会復帰ドキュメンタリー作品~
原題 | HIKIKOMORI:THE LOCKED GENERATION |
制作年/作品時間 | 2020年製作/作品時間69分 |
撮影地 | フランス・日本 |
製作国 | フランス |
監督 | ミカエル・ガニェ |
これまで「ひきこもり」は日本特有のものとされてきたが、もはや世界共通の社会問題として知られるようになっている。日本では「ひきこもり」が100万人を超える一方、フランスでは若年層が数万人いるとされ、家族を巻き込んで深刻化している。本作では、苦悩する本人や途方に暮れる親の証言、日本の事例を研究しながら解決の糸口を探ろうとするフランスの精神科医や支援者たち、さらにフランスの視点から垣間見た日本の現状を取材し、「ひきこもり」の背景にはどのような問題が隠されているのか、解決策はないのか、将来社会に与える影響などについて丹念に紐解いていくドキュメンタリー。
[ドキュメンタリー作品・予告編]

<ドキュメンタリー映画『HIKIKOMORI フランス・日本』の概略>
『HIKIKOMORI』は、フランスと日本におけるひきこもり問題をテーマにしたドキュメンタリー映画です。本作では、ひきこもりとは何か、その定義や社会的影響を探るとともに、当事者や家族の視点からこの問題に迫ります。日本では家庭の問題として捉えることが多かった「ひきこもり」は、8050問題や若年層の失業率の上昇といった背景がひきこもりの増加に影響しているのかが認識でき、社会的問題として捉えるべき状況だと考えさせられます。また、コロナ渦を経て、世界的にも「HIKIKOMORI」は増えており、欧州の事例として、フランスにおけるひきこもりの状況にも焦点を当て、日本との違いや共通点を浮き彫りにしています。

<「ひきこもり・HIKIKOMORI」について>
■ひきこもりの定義と現状■
ひきこもりとは、長期間にわたり社会との関わりを断ち、自宅に閉じこもる状態を指します。その原因はさまざまで、精神的な問題、社会的プレッシャー、家族関係の悪化などが影響を及ぼしています。日本ではひきこもりの高齢化が進み、親が高齢となる8050問題が深刻化しています。一方、フランスでは、若者の孤立やメンタルヘルスの問題として捉えられています。

■8050問題とは■
8050問題とは、80代の親が50代のひきこもりの子どもを支え続ける状況を指します。親が高齢になり、経済的・身体的な負担が増す一方で、子どもは社会復帰が難しくなります。結果として、家庭全体が経済的に困窮し、孤立を深めるケースが増えています。本作では、この問題が家族に与える影響についても詳しく取り上げています。
◇ひきこもり人数の統計データ◇
日本の内閣府の調査(こども・若者の意識と生活に関する調査)によると、以下の推移となります。
調査年 | 2018年 | 2022年 | ||
年齢区分 | 率 | 人数 | 率 | 人数 |
15~39歳 | 1.57% | 54.1万人 | 2.05% | 61.9万人 |
40~64歳 | 1.45% | 61.3万 | 2.02% | 83.9万人 |
2022年における調査データでは、2018年に比べ、総じてひきこもり人数が増加しており、15~64歳の生産年齢人口で見ると、合計約146万人がひきこもり状態にあると考えられています。内閣府の調査データは、広義のひきこもりの推定数値となりますが、50人に一人の割合でひきこもりが発生していることになります。
ひきこもりの多い国には、日本、韓国、中国、イタリア、フランスなどが並び、家族主義であることが共通点に挙げられています。フランスでは、HIKIKOMORIに関する厳密な統計は存在しませんが、ニート状態にある人が約100万人以上発生している報告があるため、そのうちの一定数はひきこもり状態にあると推定されています。これは、文化的な違いや社会制度の違いが影響していると考えられます。

■ひきこもりとニートの違い■
ひきこもりとニートは混同されがちですが、明確な違いがあります。ニート(NEET)は「Not in Education, Employment, or Training」の略で、教育や職業訓練を受けず、働いていない若年層を指します。NEETには、家事や育児などをしている人や、就労意欲がある人も含まれます。
OECD(経済協力開発機構)の調査データとして、15歳から29歳までの若者のうち、就学も就労もしておらず、教育や訓練にも参加していない人々の割合のNEET率(2019年)では、日本は約10%、フランス14.8%、アメリカ11.4%、韓国9.9%などとなっています。
一方、ひきこもりは単なる失業状態ではなく、長期間にわたって社会的な関わりを避け、家庭内に閉じこもる状態を指します。したがって、NEETの割合は、引きこもりの割合の上限と考えることができます。
■フランスと日本の「ひきこもり」事情■
フランスでは「社会的孤立」という視点からひきこもりが議論される一方、日本では長年にわたり「家庭内の問題」として捉えられてきました。しかし、近年では支援団体やカウンセリングを通じた社会復帰の取り組みも進んでいます。
<ひきこもりの社会的影響と支援策>
本作では、ひきこもりが社会にもたらす影響についても掘り下げています。ひきこもりの増加は、経済的な負担や社会保障制度への影響を及ぼすだけでなく、家族の負担も大きくなります。そのため、政府の取り組みや支援策、カウンセリング、就労支援といった解決策が求められています。本ドキュメンタリーの中でも、HIKIKOMORI状態にある方とそのご家族の心理や葛藤の実態、ひきこもりの克服に向けた姿などが映し出されています。
社会を生き抜く力を養うドキュメンタリー視聴のおすすめ

「HIKIKOMORI」は、単なるひきこもり問題を取り上げたドキュメンタリーではなく、最新の状況を日本と欧州のフランスを比較し、当事者や家族、専門家の視点を交えながら、日本とフランスの異なる文化や社会制度におけるひきこもりの実態、当事者達の声や社会復帰への支援などひきこもり問題の本質に迫る作品です。コロナ禍の影響を受け、世界中の国々でひきこもりの状態が悪化し、孤立が進む現代社会で、ひきこもり問題がどのように変化していくのかを考察できます。
本作品は、「ひきこもり問題に関心がある方」やひきこもりの精神的影響、家族の抱える悩みも描いていますので「ひきこもりの家族や支援者の方」、「社会問題やメンタルヘルスに関心がある方」、「社会的スティグマについて考えたい方」にもおすすめです。
「HIKIKOMORI」は、ひきこもりの現実を多角的に捉え、私たちに何ができるのかを問いかけるドキュメンタリー映画です。ひきこもりの問題に関心がある方は、ぜひご覧いただき、社会を生き抜く力を養いませんか。
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