クローンによる古代生物復活への挑戦と倫理を問う『ジェネシス2.0 よみがえるマンモス』ドキュメンタリー映画

 
 

今回のドキュメンタリー映画紹介は、牙ハンターによってシベリアで発掘されたマンモスのDNAをもとに、絶滅種の復活を目指す科学者たちの挑戦とゲノム編集やクローン技術等に対する倫理面に迫るドキュメンタリー『ジェネシス2.0よみがえるマンモス』です。マンモスの復活は現実となるのか、絶滅種や古代生物は蘇るの日は来るのかー。それでは作品紹介をさせていただきます。
 

<作品紹介>

ドキュメンタリー作品タイトル:ジェネシス2.0 よみがえるマンモス

~シベリア牙ハンターが発見したマンモスからDNA抽出!クローン技術で絶滅種復活の最前線と倫理観を問うドキュメンタリー映画~

 
原題  Genesis 2.0 
制作年/作品時間  2018年製作/作品時間113分
撮影地  ロシア、韓国、中国
製作国  スイス
監督  クリスチャン・フレイ
受賞歴  2018年 Sundance映画祭 Special Jury賞受賞
 2018年 第40回Moscow国際映画祭 視聴者賞受賞
 2018年 第15回Seoul Eco映画祭 ベスト長編映画賞受賞
 2018年 Cinem Ambiente Turin映画祭 ベスト国際ドキュメンタリー賞受賞
 2018年 Green Film Network映画祭 ベストドキュメンタリー賞受賞
 2018年 Lunenburg映画祭 長編映画賞受賞
 2018年 Arctic国際映画祭 Golden Raven賞受賞
 2018年 第9回DocUtah国際映画祭 ベスト海外フィルム賞受賞
 2018年 Zürcher Filmpreis映画祭 Film Award City of Zurich賞受賞
 2019年 Budapest国際ドキュメンタリー映画祭 Main Prize section Naked Truth賞受賞
 2019年 Detour Cinema del Viaggio映画祭 ベストフィルム賞受賞
 
牙ハンターのピーター・グレゴリエフは、北極海に浮かぶニューシベリア諸島で、マンモスの牙を掘り出して生計を立てる。あるとき牙を探していた仲間が、土中から1頭丸ごとのマンモスを発見した。そのマンモスの回収に来たのが、ピーターの弟でマンモス博物館の館長を務めるセミヨンだった。セミヨンの狙いは、マンモスの生きた細胞を手に入れて、クローンを生み出すこと。調査ではマンモスの血液までも手に入れることができた。クローン生成やゲノム操作の最前線と、牙発掘という原始的な生業がクロスオーバーした世界が見せてくれるものは、科学の可能性か、それとも生命の尊厳か。我々人類が未知の領域に踏み込んでしまったことを、神は許すのだろうか。

[ドキュメンタリー作品・予告編]
 



<『ジェネシス2.0 よみがえるマンモス』ドキュメンタリー映画の概略>

「ジェネシス2.0 よみがえるマンモス」は、シベリアの永久凍土から発掘されたマンモスの化石とDNAを巡る科学者とハンターの物語を描いたドキュメンタリー映画です。本作は、マンモスの牙を求める牙ハンターの生業と古代生物マンモスの復活を目指す科学者たちとの世界を描きながら、シベリアで発掘されるマンモスのDNA抽出とゲノム解析の最前線、そしてその対極議論となるクローン技術の倫理問題や遺伝学がもたらす未来についても展開され描かれています。本作は、絶滅種のクローン技術がもたらす可能性と、それが引き起こす社会的・倫理的課題を問いかける作品となっています。

 


<マンモスの概要と生物学的特徴>

■マンモスとは?■

「マンモス」は、更新世(約400万年前〜1万年前)に広く生息していたゾウの仲間で、特に寒冷地に適応した種として知られています。最も有名な種類はケナガマンモス(Mammuthus primigenius)で、厚い毛皮と脂肪層により極寒のシベリアや北米に適応しました。
およそ1万年前に絶滅したと言われるマンモスは、シベリアの永久凍土では非常に保存状態の良い化石が発見されています。これにより、DNAの抽出され、クローン技術によるマンモス復活の研究が進められています。

■マンモス絶滅の要因■

マンモスの絶滅には、主に2つの要因が考えられています。
・気候変動:氷河期の終焉に伴い、気温の上昇と草原や生息地の縮小が起こりました。
・人類の狩猟:石器時代の人類がマンモスを狩猟したことが絶滅を加速させた可能性があります。

<『ジェネシス2.0 よみがえるマンモス』作品の考察>

  

本ドキュメンタリー作品では、シベリアという過酷な環境下で、マンモスの牙発掘を行う牙ハンターたちの原始的な生業を映しながら、科学の最前線が交錯する様子をリアルに描き出し、マンモスが持つ価値が科学・経済・倫理の視点から包括的に捉えることができます。
 

■クローン技術の最前線と倫理的問題■

本作の中心となるのは、マンモス復活プロジェクトに取り組む科学者たちの姿です。遺伝学者たちは、マンモスのDNA抽出を行い、そのゲノム解析を通じてクローン実験を進めています。彼らの目標は、現存するアジアゾウのDNAと組み合わせることでマンモスのクローンを誕生させ、絶滅した生物を現代に蘇らせることです。しかし、クローン技術の進化には多くの課題が伴います。ゲノム解析における問題や、クローン動物実験がもたらす倫理的な問題が議論されています。マンモスのクローン研究が成功すれば、恐竜や古代生物、その他の絶滅種の復活も現実味を帯びてきますが、それが生態系にどのような影響を与えるのかについては未解決のままです。

 

◇現在も進行するハーバード大学・ジョージ・チャーチ教授の遺伝学研究◇

ハーバード大学のジョージ・チャーチ教授は、マンモスのクローン研究を進める最前線の科学者の一人です。教授のチームは、ゲノム編集のCRISPR-Cas9技術を用いてアジアゾウのゲノムにマンモスの遺伝子を組み込む研究を進めています。チームの目標は、マンモスの生態学的役割を復元し、地球温暖化の防止にも貢献することです。北極圏の永久凍土が溶け始めています。永久凍土が露出した状態になると、二酸化炭素やメタンガスなど、炭素が大気に大量放出される恐れがあると言われています。チャーチ教授によると、マンモスをツンドラ地帯に再導入することで、氷河期のような環境を再現し、永久凍土の融解を防ぐことが可能になるとされています。
 

<社会を生き抜く力を養うドキュメンタリー映画!本作の視聴おすすめの方>

 

「ジェネシス2.0 よみがえるマンモス」は、牙ハンターによるマンモスの発掘からマンモス復活プロジェクトを中心に、遺伝学やクローン技術の最前線を描いたドキュメンタリー映画です。
本作は、どんな方にもおすすめのドキュメンタリー映画ですが、マンモスのクローン研究を中心に、遺伝子工学の最先端技術について詳しく紹介されていますので、「遺伝学・ゲノム解析やクローン技術に興味がある方」や「恐竜や古代生物の復活、説滅危惧種の保護などに興味のある方」、クローン技術の倫理問題や、クローン動物実験に対して非常に示唆に富んだ内容ですので、「科学技術と倫理問題を考えたい方」にも、おすすめの作品です。
マンモスの復活が現実のものとなる日が来るのか、科学の進歩が生態系への影響や私たちの社会生活にどのような功罪をもたらすのか、ぜひこのドキュメンタリー映画を通じて考えることをおすすめします。

【コラム】おすすめ!必見作品『ジェネシス2.0 よみがえるマンモス』

アジアンドキュメンタリーズの配信作品の中から、今、特に注目されている人気の話題作をピックアップしてご紹介させていただきます。
 
ドキュメンタリー作品ページはこちらからご視聴下さい。

『ジェネシス2.0 よみがえるマンモス』 https://asiandocs.co.jp/contents/1326


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