中国が直面する急激な婚姻数減少と未婚女性の結婚事情に迫るドキュメンタリー『結婚しない、できない私』

 


今回のドキュメンタリー映画紹介は、急速に変化する中国社会の中で、結婚を選ばない、または選べない未婚女性たちのリアルを追ったドキュメンタリー作品『結婚しない、できない私』です。「剰女(シェンニュ)」と呼ばれる未婚女性たちは、結婚適齢期を迎えるとともに家族や社会から結婚のプレッシャーを受けます。しかし、彼女たちはキャリアや自己実現を重視し、従来の結婚観にとらわれない新しい生き方を模索しています。果たして、彼女たちは結婚するべきなのか?それとも「結婚しない人生」という選択肢を貫くのか?それでは、作品紹介をさせていただきます。
 

<作品紹介>

ドキュメンタリー作品タイトル:結婚しない、できない私

~中国の結婚適齢期変化&生涯未婚率上昇!独身女性「剰女」の婚活事情と家族の本音に迫るドキュメンタリー作品~

 
原題  Leftover Women
制作年/作品時間  2019年製作/作品時間84分
撮影地  中国
製作国  イスラエル
監督  シェシュ・シャラム、ハイラ・メダリア
受賞歴  2019年 フィラデルフィア映画祭(最優秀長編ドキュメンタリー賞)
 2019年 EBS国際ドキュメンタリーフェスティバル(特別審査員賞)
 2019年 ドカビブ国際ドキュメンタリー映画際 イスラエル(最優秀編集賞、監督賞)
 2019年 トライベッカ映画祭 NY2019 [ワールドプレミア](最優秀ドキュメンタリーノミネート)
 2019年 ヨーテボリ映画祭(スェーデン)
 2019年 ホット・ドックス(カナダ)
 2019年 シドニー映画祭(オーストラリア)
 2019年 上海国際映画祭(中国)
 2019年 ニュージーランド国際映画祭
 2019年 メルボルン国際映画祭(オーストラリア)
 2019年 モンテレイ映画祭(メキシコ)
 2019年 ベルゲン国際映画祭(ノルウェー)
 2019年 女性の権利のための映画祭(韓国)
 2019年 ハートランド国際映画祭(アメリカ)
 2019年 オーバーザライン国際映画祭
 2019年 ガスガファ国際ドキュメンタリー映画祭
 2019年 ロッキーマウンテン女性映画祭
 2019年 広州国際ドキュメンタリー映画祭
 2020年 パームスプリングス国際映画祭(アメリカ)
 2020年 ブダペスト国際ドキュメンタリー映画祭(ハンガリー)
 2020年 アムステルダム人権映画祭(オランダ)
 2020年 ロンドン人権映画祭
 
中国で、27歳になっても結婚しない、できない女性を意味する「剰女」(シェンニュイ)。「余った女」という意味である。ここに登場する未婚女性・独身女性たちの悩みは深刻だ。34歳、弁護士。28歳、ラジオ局のアナウンサー。36歳、北京師範大学准教授。彼女たちは、果たしてしあわせな結婚ができるのだろうか。婚活に奔走する彼女たちと家族の本音を赤裸々に綴ったドキュメンタリー映画。急激な経済成長を遂げ、女性も大学を出て、社会で活躍することが当たり前になった中国では、同時に「結婚」にまつわる様々な問題が噴出している。現代女性が直面する「結婚」は、誰のため?何のためにするのか?という、人間としての大きな問いを投げかけられる作品。

[ドキュメンタリー作品・予告編]
 


<中国の結婚事情と「剰女」「剰男」の現実>

中国では、結婚適齢期の変化とともに、生涯未婚率が上昇しています。都市部では女性の学歴や経済的自立が進み、従来の結婚観に疑問を持つ人が増えています。しかし、家族や社会の価値観は大きく変わらず、特に30代を過ぎた未婚女性は「剰女(シェンニュ)」と呼ばれ、結婚しないことが問題視されることも少なくありません。また、中国国家統計局によれば、2021年末時点の総人口14億1,260万人のうち、男性7億2,311万人に対し、女性が6億8,949万人であり、男性が3,000万人以上も多く、「剰男(シェンナン)」の事情が、女性優位の状況を生み出し、結婚に影響を与えているとも言われています。



■中国と日本の婚姻数推移■

中国の婚姻件数を5年ごと(2010年、2015年、2020年)の推移としてまとめました。ご参考までに日本の婚姻件数も合わせて記載します。

中国の婚姻件数 日本の婚姻件数
2010年 約1,213万組 約70万組
2015年 約1,144万組 約64万組
2020年 約814万組 約52万組
(2010年比) (67%) (74%)
[出典]中国:中華人民共和国民政部「民政統計年鑑」 日本:厚生労働省「人口動態統計」

このデータからも分かるように、婚姻件数は年々減少しており、2010年から2020年までで、約400万組も結婚カップルが減少、2010年比67%と急激な減少傾向にあることがわかります。未婚化・晩婚化の影響が進行していることがうかがえます。

■婚活のリアル:中国の婚活例■

本作では、未婚女性たちが婚活に参加する様子も描かれています。中国ではどんな婚活があるのか、一部ですが、ご紹介します。

・親が主導する婚活イベント(親の代理婚活):公園や公共の場で開催され、親が子どもの代わりに相手を探す。
・オンライン婚活アプリ:WeChatや専門アプリを利用して条件に合う相手を検索。
・スピードデート:短時間で多くの異性と交流し、最適な相手を見つける。
・職場内の紹介制度:企業が社員の婚活を支援する制度を導入するケースも増加。



■婚活のリアル:結婚しない、できない理由■

中国では、男女比が崩れており、結婚を望んでも理想の相手と出会えないケースも多く、「婚活がうまくいかない」という声も多く聞かれます。
結婚したくない理由として挙げられるのは、経済的自立、キャリア志向、自由な生き方への憧れです。逆に、結婚できない理由としては、婚活市場における男女の条件の違いや、伝統的な価値観との摩擦が挙げられます。
中国では、結婚時に男性側が用意する「マイホーム、マイカー、結納金」の三要件も重荷となっていると言われています。結婚と同時に一軒家やマンションを男性側が購入することが多く、自動車も必須条件になることで、男性側のハードルの高さと条件を良く見定める女性優位の構造が、未婚、晩婚化の要因にも繋がっています。


<『結婚しない、できない私』ドキュメンタリー作品の見どころ>

このドキュメンタリーでは、中国の結婚文化、結婚年齢の変化、結婚格差に迫りながら、剰女や剰男という社会問題や女性の社会進出が進む現代中国の結婚観の変化を明らかにしています。結婚に対する周囲のプレッシャーや結婚を望む男女のギャップなど、登場人物の人間模様とリアルな婚活事情が描かれています。


・結婚しない女性が直面するプレッシャー
結婚するかしないかの選択は、個人の自由であるべきですが、特にアジア圏では未だに家族や社会からの強い圧力が存在します。この作品を通じて、「結婚は本当に必要なのか?」「結婚しない人生とは?」といった問いを視聴者に投げかけます。

・中国と日本、共通する価値観の変化
中国の結婚観を描きながらも、日本の独身女性や婚活中の女性にも共感を呼ぶ内容となっています。日本でも女性の社会進出にともない生涯未婚率の上昇や結婚適齢期の変化が話題になり、結婚に対する価値観が多様化しています。「結婚のメリット・デメリット」を考えながら、結婚という選択肢を見つめ直し、慎重に判断する人が多数になってきました。

◇コーヒーブレイク:結婚のメリット・デメリット◇

結婚は、パートナーと人生を共有する歩みとなるため、さまざまなメリット・デメリットがあります。一例ですが、コーヒーブレイク的なご参考としてご覧いただければと思います。

メリット デメリット
精神的な支えを得られる 相手との価値観の違いによるストレス
経済的な安定が期待できる 経済的負担が増える
社会的信用が高まる 自由な時間が制限される
子どもを持つことで家族が形成される 家事や育児の負担が偏る可能性
老後の安心感が得られる 離婚のリスクがある



<視聴におすすめの方>



中国の婚活市場や結婚観を深掘りしたドキュメンタリーですが、日本の独身・未婚の方や婚活中の方にとっても参考になる作品です。以下のような方には特におすすめです。

・結婚について悩んでいる方:結婚するべきかどうか迷っている方にとって、他国の事情を知ることで新たな視点が得られます。
・婚活中の方:婚活パーティーの実態や結婚市場の現実に興味のある方にとって参考となります。
・未婚女性・独身女性:結婚しない人生を選択することの意味を深く考える機会となります。
・社会問題やジェンダー問題に関心がある方:中国の結婚格差や未婚率の上昇といった社会的な背景を知ることで、日本の状況と比較しながら考えることができます。

『結婚しない、できない私』は、中国の未婚女性のリアルな現状を描きながら、結婚とは何か?という根本的な問いを投げかけるドキュメンタリーです。結婚に対する価値観が多様化する今こそ、この作品を通じて、自分自身の「結婚観」を見つめ直してみませんか?
 

【コラム】おすすめ!必見作品『結婚しない、できない私』

アジアンドキュメンタリーズの配信作品の中から、今、特に注目されている人気の話題作をピックアップしてご紹介させていただきます。
 
ドキュメンタリー作品ページはこちらからご視聴下さい。

『結婚しない、できない私』 https://asiandocs.co.jp/contents/147


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