特集「外国人が見た日本」(全5本)

◆「日本を知る」ためのドキュメンタリー映画
「脱コロナ」が進み、国境を超えて人々の往来が活発になった今、日本にもビジネスや観光目的でたくさんの外国人がやって来るようになりました。すでに労働者として日本で暮らす外国人も含め、国際化が加速していくでしょう。彼らにとって、日本とはどんな国なのでしょうか。島国であるがゆえに、独特の生活文化や価値観を形成した日本ですが、住んでいる私たちがその特徴に気づくことは困難です。しかしドキュメンタリー映画を通して、日本の常識が世界からどう見られているのかを知ることはできます。娯楽的な見地だけではなく、「日本を知る」という意図で制作された作品は、私たち自身が「何者なのか」を考える機会を与えてくれます。
 
◆集団を重んじる民族性と日本型コミュニティー
海外から見た日本人の民族性として挙げられるものの典型に「集団主義」「同調圧力」があります。日本語独特の表現である「忖度」「空気を読む」という言葉に代表されるように、私たちは「私」よりも「職場」「社会」など所属するコミュニティーの利益を優先することが多々あります。それは良く言えば「公共の利益」につながりますが、当事者のストレスや軋轢を生むことにもなりかねません。とりわけ戦後に驚異的な成長を遂げた経済界や産業界においてその傾向は顕著です。「会社のために自分が耐える」という風土は、今も社会に蔓延っています。一方で、これまで平和国家としての歩みを進めてきた日本が、国防についての議論で分断されています。外国人ジャーナリストの目から、こうした議論はどのように映るのでしょうか。
 
◆現代社会に生きる私たちが忘れかけているもの
日本古来のスポーツとして柔道や相撲などの武道があります。そのいずれもが競技としての勝利よりも礼節や精神修養に重きを置いている点では、武道とスポーツは似て非なるものなのかもしれません。求められるのは、心技体の充実であり、技を磨くことは心を磨くことでもあります。暮らしの西欧化が進み、価値観が劇的に変化する中で、私たち日本人にとっても次第に縁遠くなってゆく武道の世界。外国人監督の目に映った場面は、我々にとっても新鮮に感じられる光景です。武道の世界からも、良くも悪くも「日本人」らしさを垣間見ることができるのではないでしょうか。

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