特集「ミャンマーの暮らし」(全3本)

◆軍政下の困難にも負けない国民の強さ
2021年のクーデターにより、国軍が政権を掌握したミャンマー。2010年の軍事政権解散以降進めていた民主化への道は、逆戻りを始めました。政変により、治安や医療、教育などの公共サービスは機能が低下。民主派勢力との武力衝突が泥沼化した軍は、民間人を巻き込むような空爆をおこなったり、民兵に村を焼き払わせたりと、過激な鎮圧行動をとっています。混乱が収束する気配すら感じられないミャンマーですが、国民は困難に直面しながらも日々の営みを続けています。彼らの暮らしに密着したドキュメンタリー作品を用意しました。
 
◆民族間の対立と紛争がもたらす格差
ミャンマーは135以上の民族を擁する多民族国家。最も多いのがビルマ族で、総人口約5300万人のうちの半数以上を占めています。社会構造はビルマ族優位。1948年に英国から独立したのち、ビルマ族の国軍と少数民族武装勢力との戦闘は続いています。ビルマ族とその他の少数民族間には格差が存在。格差の主な要因は紛争です。紛争は少数民族居住地域で起き、直接の戦闘被害の他、周辺地域でのインフラ整備遅れや、教育普及率の低下などの問題も発生。職業選択においてもビルマ族が優位で、少数民族が不利な状態に置かれています。
 
◆仏教の教えに根ざした慈悲深い国民性
「世界で最も慈悲深い国」と評価されることもあるミャンマー。国民の大半が敬虔な上座部仏教徒のため、より良い来世を迎えるために、日ごろから善行に取り組み功徳を積むことに熱心です。仏教の教えはミャンマー人の人柄にも表われています。ミャンマーの国民性を一言で言うなら「穏やかで真面目で、控えめ」です。幼い頃から長幼の序を重んじる環境に育ち、成人しても親に従順。家族の絆を大切にする国民性は、私たちも大いに共感できるもの。仏教をベースにした倫理観と、豊かな国土がもたらす優しさが、映像の随所に感じられます。

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