特集「喫茶の時間」(全3本)

◆中国雲南省をルーツに、アジア各国で栽培が広がる
お茶は、水に次いで世界で2番目に飲まれている飲料。お茶の起源は諸説ありますが、紀元前2700年頃に中国雲南省で茶樹が発見されたという説が有力です。以来、嗜好品として飲まれ始め、日本には奈良時代から平安時代にかけて遣唐使により伝来しました。その後は各地で茶栽培が始まり、貴族や武士階級を中心に喫茶の嗜みが普及しました。西洋にお茶が伝わったのはずっと後の17世紀。「日本の飲み物」としてオランダが輸入したのが最初といわれています。18世紀に入ると欧州で紅茶が人気化し、19世紀にはインドでアッサム茶樹が発見され、インドやスリランカで茶の栽培が始まったのです。
 
◆製法も飲み方も独自の進化を見せる日本茶
喫茶は日本で独特の進化を遂げました。15世紀から16世紀にかけて作法が生み出され、千利休によって完成をみたのが「茶の湯」。作法や道具とともに、精神性や芸術性も包括した「日本の総合文化」とも呼ばれています。お茶は、栽培される地の気候や風土に根付いた“ローカル性”も発揮。産地により香りや味わいの細やかな変化を楽しむ喫茶スタイルも生まれています。ブランド志向の高まりと並行して、庶民の飲み物としての広がりも見せる日本茶。20世紀後半に登場したペットボトル飲料のお茶は、いまや私たちにとって最も身近な飲み物となりました。時代ごとのライフスタイルに合わせて飲み方も変化するのが、日本茶の最大の特徴といえます。
 
◆アジアから欧米に 世界に広がるお茶の人気
お茶の生産量が最も多いのは中国で、2位はインド。アジアはお茶の主な消費地でありながら、主な生産地でもあります。お茶の生産量は増え続けており、2018年の国際茶業委員会の発表数値によると、世界の茶生産量は前年から3.4%増の589万6644トンと、過去最高を更新。10年前と比較しても46.7%増と飛躍的な伸びを見せています。背景には欧米を中心とした海外での緑茶ブームがあります。日本茶の輸出額もコロナ禍だった2021年も好調。海外の消費拡大をきっかけに、国内でもお茶の魅力を再認識する動きも見られます。

※「お茶の探検家」は7月8日頃に配信予定です。しばらくお待ちください。

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