特集「絶望するガザ」(全3本)

◆安全な場所はどこにもないガザ地区
2023年10月7日、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに対し、かつてない規模の奇襲攻撃をしかけ、戦争が勃発しました。ハマスが発射したロケット弾は数千発といわれ、数百人のイスラエル住民が殺害され、外国人を含む多くの民間人が人質として連れ去られました。イスラエルは、「第四次中東戦争以来の死者数」と発表し、ハマスに対して宣戦布告。報復のための空爆を繰り返し、戦車などによる地上での軍事作戦も拡大させています。10月27日、ガザ地区の保健当局は、空爆などによるガザ地区での死者は7,326人で、このうち18歳未満の子どもの死者が3千人を超えたと発表。民間人を無差別に空爆するイスラエルの攻撃に、「虐殺だ!」「ジェノサイドだ!」と非難の声が高まっています。
 
◆将来に全く希望を描けない若者たち
「天井のない監獄」と呼ばれるガザ地区は、2007年から現在まで16年もの間、高い壁に囲まれた封鎖状態にあり、イスラエルによって人と物の出入が極端に制限されてきました。燃料や食料、日用品、医療品などが慢性的に不足し、経済や生産活動が停滞。工場や農地も戦争によって破壊され、失業率は悪化するばかり。深刻な水問題も起きています。人々は国連や支援団体からの援助物資で、かろうじて命をつなぐしかありません。将来に全く希望を描けない若者たちは命がけでガザを脱出したり、海を渡ろうとしたりする人が増えています。近年は自殺者も増加しています。こうしたイスラエルによるガザ地区の封鎖政策は、明らかに国際法で禁じられている「集団懲罰」であると国連や人権団体は非難していますが、国際社会はイスラエルに対し有効な手立てを打ち出せていません。
 
◆犠牲になるのは多くの民間人と子ども
そして2008年以降、ほぼ2年おきに行われるイスラエル軍からの激しい攻撃にもガザ市民は耐えてきました。2014年の侵攻は、空と陸から51日間にわたって行われ、死者2,251人(うち7割が女性や子どもを含む民間人)、負傷者約1万1千人、全壊・半壊家屋1万8千戸という大きな被害がもたらされました。2021年5月には11日間にわたる空爆で、民間人や子どもを含む約2,500人が死傷しました。このような状況からもパレスチナ側には、ハマスが暴発するのも時間の問題だったという見方もあります。ハマスによる大規模な攻撃や民間人の殺害は断じて許されるものではありませんが、これまでのイスラエルとパレスチナによる戦闘では、圧倒的にパレスチナの民間人や子どもが犠牲になっていることを忘れてはなりません。これ以上、市民の犠牲を生まないためにも、即時停戦が必要なのです。

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