特集「ロマンを追い求めて」(全3本)

◆拡大するルッキズムと、問われるアイデンティティー
科学技術の進歩や経済発展など、人間は繁栄への憧れや欲望を原動力にして進化を遂げてきました。そして、最低限の衣食住を手に入れるだけにとどまらず、便利さや快適さ、さらには人間的な強さや美しさも切望するようになりました。とくに外見上の「美」は、経済力を有した民族にとって、重要な競争力になりました。現代では女性のみならず男性も、己の美しさを求める傾向が顕著です。時代を席巻するルッキズムは、インターネットによって世界中に蔓延っています。人々は、何をもってアイデンティティーとすればよいのか。価値観の変動は年を追うごとに激しくなっています。
 
◆世界の富が集まる中国が覇権国家となるのか
有史以来、文明のある所に富が偏在してきました。古くはギリシャやローマ帝国、大英帝国やフランス、米国など、文明の発達や産業の隆盛、経済発展を背景に栄えた国や地域に、人も物も集まり、巨大な文化圏を形成しています。21世紀に入ると、発展の主役は中国にとって変わりました。広大な国土と14億の人口が生み出す経済力は、世界第2位の規模。チャイナマネーが世界をリードしています。アフリカの開発も欧州の経済発展も、中国の存在なしには語れない時代。これまで欧米が握っていた覇権の行方に世界が注目しています。
 
◆遺伝子工学がもたらす未来は、どんな世界なのか
科学の発展は、自然の法則を超えられるのでしょうか。クローン技術に代表される遺伝子工学や生命工学が急速な発展を遂げる今、その運用についての倫理観が問われています。作物の遺伝子編集で品種改良することは認められたとしても、動物への関与、とりわけ人間の遺伝子情報については慎重な扱いが求められます。生命体の特徴を意図的に作り出すことができるようになると、男女の産み分けや人間の育種などに使われ、社会が混乱するリスクも懸念されます。すでに動物の合成は実証が進み、クローン動物の誕生も珍しいものではなくなってきました。いまこそ慎重な対応が求められます。
 
果てることのないあくなき欲望と憧れを追い求める人類は、どこへ向かっていくのでしょうか。

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