特集「パレスチナの記録」(全4本)

◆ネット社会で輝きを増した映像アーカイブの価値
1895年にフランスで発明された「シネマトグラフ」が映画へと発展し、1936年には英国でテレビ放送が始まり、本格的な映像の時代が始まりました。スマートフォンが普及した今日では、誰もが手軽に映像を記録。インターネットを使って保存や配信ができるようになり、映像メディアは新時代を迎えています。映像はアーカイブされることにより、世界中のコンテンツを探すことが可能になりました。映像アーカイブには、地域の文化や生活の記録、産業技術などを、社会の財産として残す役割があります。同時に戦争や紛争、テロなど、人類の過ちについても未来に伝えていくことが求められています。
 
◆弱者が記録し残すことができる「支配者の不都合」
撮影機器が目まぐるしい進化を遂げた20世紀、映像は一部の強者が大多数の弱者に向けて作るものから、弱者でも制作できるものに変わりました。そこには、弾圧や虐殺、人権侵害の被害者や、戦争による破壊や貧困など、為政者や支配者にとって不都合な事実も含まれています。アーカイブが確立する以前であれば無視したり没収したりできた映像も、現代では機密情報でない限り誰もがアクセスすることができます。虐げられた者たちのリアルな苦悩と叫びを、視聴者が共有し連帯することができる。映像が世の中を動かす時代なのです。
 
◆イスラエルが消し去ろうとしたパレスチナの70年
映像はプロパガンダに使われたり、逆に不法行為を晒したり告発したりすることもできます。そのため、権力者は自分達にとって不都合な映像を公にすることを拒みます。70年もの間、イスラエルの侵攻を受けてきたパレスチナの人々は、数多くの映像作品を残しています。現在はイスラエルが機密扱いにしているものが多く、その全てにアクセスすることはできません。それでもパレスチナに心を寄せる世界中の人々が保存し、伝えようとしている映像があります。パレスチナ人の闘争を映した作品は、イスラエルが知られたくない史実の一片でもあります。その記録を紐解くことができるドキュメンタリー映画を用意しました。

お気に入り登録数:0

カテゴリ