特集「難病と生きて」(全3本)

◆明日は自分が当事者になるかもしれない難病
難病は、発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立しておらず、希少な疾患であり、長期の療養を必要とするもの、という4つの条件に当てはまる病気のこと。さらに患者数が人口の0.1%未満で、客観的な診断基準がそろっているものを指定難病と呼んでいます。世界には5000〜7000もの難病があり、日本国内では症例のない難病もあります。日本で確認されている指定難病の数は300を超え、100万人を超える患者が病と戦っています。難病は決して人ごとではなく、いつ私たちが当事者になるか分からないものなのです。
 
◆患者と家族が無力感や孤独感を乗り越えるために
難病を患い、病状が進行してくると、多くの場合は発症前と同じ生活を送ることが困難になります。家族や社会に対して自分の役割が果たせなくなったり、生活の援助を受けたりといった出来事を経験して、患者自身が無力感を抱いてしまいがちです。症状の改善が見られなくて、医療不信に陥ることもあります。患者を支える家族も悩みを抱えています。親しい人にも打ち明けられず孤立したり、自分の対応が良くないのではと苛まれたり、家族同士が非難し合うこともあるでしょう。患者や家族が病気を受け入れ、前向きに生きていくためには、周囲のサポートが欠かせません。その第一歩は、当事者たちの不安を理解することなのです。
 
◆人生の価値を上げるために、理解と支援を
医学の進歩はめざましく、これまでにさまざまな病気の治療を可能にしてきました。現段階の医学で治療不能と言われる難病も、近い将来に治癒への道が開かれるかもしれませんが、病を乗り越えていく力の源泉は心です。命に限りがあるのは誰もが負った宿命。人生の途上で遭遇する病気もまた、その人の人生の一部なのです。難病を患ってもなお、その中に生きる意味と価値を見出すことは、不可能ではありません。患者と家族が自分たちの力に気づき、主体的に行動できるよう、理解と支援の輪を広げていきましょう。

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