特集「怒れる女性たち」(全7本)

◆個人が尊重される時代でもなくならない女性差別
人は生まれながらに与えられた性があり、古くから男女それぞれの生命体としての特徴に応じた役割や働きを分担しながら歴史を築いてきました。世界の多くの国で、体格に勝る男性は肉体労働や兵役をこなし、出産で子孫を増やすことができる女性は育児や家事に従事することが一般的でした。産業や経済が発展し、近代化が進むにつれて男女の役割意識は薄れ、個人の意思や思考が尊重される社会が到来しました。もはや身体的特徴で役目を負わせる時代ではありません。しかしながら、依然として男性優位、女性差別の慣習や制度が残る国や民族が存在しています。抑圧され続けた女性たちの実情を映像化した作品をお届けします。
 
◆社会構造や伝統、宗教的価値観による抑圧
女性が受ける差別の代表的なものとして、身体的、社会的、宗教的な差別があります。身体的なものでは、暴力や虐待、性犯罪が代表例です。日本では犯罪に当たるドメスティックバイオレンス(DV)は、海外では犯罪と認められていない国も多くあります。社会的な差別で身近なものは雇用や賃金についての差別。男女間の賃金格差は先進各国にもありますが、とりわけ日本の格差が大きいことが調査で分かっています。宗教的な差別の代表的な例として挙げられるのはイスラム教です。聖典『コーラン』と『ハディース』で、女性は男性より劣位にあり、保護されるべき存在とされており、一夫多妻制や、結婚・離婚時の女性の不利益などの根拠となっています。
 
◆女性が活躍する未来へ向けて、世界は進む
ジェンダー平等は持続的な開発目標(SDGs)の目標の一つにも掲げられており、女性の社会進出は人類の繁栄のためには避けて通れない道です。世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数報告書によると、南アジアや中東、アフリカなどで、男女格差が大きいことが指摘されています。背景には教育の格差や早すぎる結婚・出産があり、民族の伝統的価値観が女性の社会進出を阻む大きな要因となっています。日本では女性の就業率が高くても、管理職者の比率が低く、30代以降は正規雇用者の比率が低下していくという問題があります。国や地域が違っても、女性活躍の障壁はさまざまな形で存在しています。真の平等な社会を実現するために、怒れる女性たちのリアルな叫びに耳を傾けましょう。

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