特集「理不尽な結婚のしきたり」(全4本)

◆古い価値観に染まった社会の犠牲者
社会の価値観や時代の変化に大きな影響を受けてきた女性の役割。かつては妻として、母として家庭内での役割に限定されることが多かった女性も、今やさまざまな分野で活躍しています。先進国では、ジェンダー平等の意識が高まり、教育やキャリアの選択においても、性別にとらわれず個々の能力や意欲を尊重する風潮が広がりつつあります。一方で、家父長制に代表される伝統的な価値観が根強く残る国家や民族も存在し、結婚がその象徴といえる実例は少なくありません。家族の中心的存在であるべき女性を虐げてきた、結婚にまつわる民族の習慣や思想を描いた作品をお届けします。
 
◆家事や出産、子育てでも差別的な扱い
アジアやアフリカなど多くの国で、女性が教育や就労の場において制約を受けています。女性の教育機会が限られている国では、女性の自立が困難です。労働市場においても、女性は低賃金の仕事に就くことが多く、管理職やリーダーシップの役割に進む機会が制限されています。ここでも、伝統的な家族構造や社会の期待が影響を及ぼしているのです。結婚や家庭内での役割においては、さらに男女格差が広がります。女性は家事や育児の負担を多く担い、キャリアとの両立は極めて困難。また、多くの民族で男児の出産が喜ばれ、男の子を産めないと離縁されたり肩身が狭い思いをしたりといった差別も存在しています。
 
◆女性の地位向上を阻むミソジニー思想
女性を、男性よりも劣った存在として蔑視する「ミソジニー」思想。ミソジニーは伝統的なジェンダー役割を強調することで、結婚後の女性の役割を家庭内に限定しようとする傾向があります。また、女性が結婚後に暴力や虐待を受けるリスクが高まる一方で、途上国の多くで社会的な支援や法的保護が不十分です。一部の国では多様な家庭の形や価値観の変化を受容する社会に変わりつつあり、女性の権利や地位の向上が見られますが、いまだにミソジニーに染まった社会も残っています。

お気に入り登録数:0

カテゴリ