特集「よみがえり」(全3本)

◆増え続ける廃棄物と、世界で共有すべき処理の問題
経済発展やビジネス電子化の影響を受け、世界中でさまざまな廃棄物が発生しています。環境省の調査によると、世界の廃棄物発生量は2000年に約127億トンだったものが2025年は190億トンまで増える見込み。さらに2050年には270億トンになるとしています。一方で廃棄物処理については処理レベルに格差があります。国や地域によっては、処理の方法に公衆衛生上の適切性を欠くことも想定されます。グローバリズムの拡大により、今後さらに各国の関係が緊密化する中、国際的な資源保護や環境保全、安全確保の必要性が増してきました。廃棄物とどう向き合っていくかは、先進国、途上国の区別なく、世界全体で取り組むべき課題なのです。
 
◆廃棄せずに素材そのままの機能を生かした再生手段
物を大量に生産・消費する時代が終わり、持続可能なものづくりの時代が到来しました。持続可能社会実現のため、近年注目されているのが「アップサイクル」です。アップサイクルとは、本来は捨てられるはずの製品に「新たな価値」を与えて再生すること。デザインや機能などの付加価値が与えられ、製品としての長寿命化も期待できるため、アップサイクルはアップグレードと捉えることもできます。廃棄予定の物の再利用という点はリサイクルと同じですが、アップサイクルは原料や材料に戻すのではなく、元の製品の素材をそのまま生かすという特徴があります。製品を原料に戻すときにエネルギーを必要とするリサイクルよりも、持続可能性が高い手法であると言えます。
 
◆廃棄されることは、物の終わりではない
廃棄物といえども、廃棄される前は人の役に立っていた物です。私たちの道具として暮らしを便利にしたり、快適にしたりと、実生活に大きく関わってきたものです。物には一つ一つに役目があり、持ち主との関係性があり、扱う人の心構えで発揮する能力が変わってしまうこともあります。我々日本人は、古より「物を大切に扱いなさい」「物には魂が宿っている」と言われて育ってきました。長年愛用してきた物が、人生の一部のように感じる人も多いでしょう。人との別れと同様に、物との別れも寂しいと感じることがあります。持ち主と物との関係は、物が廃棄されるまで続き、愛着の度合いによっては廃棄された後も人の心に残り続けます。

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