特集「ガザで起きていること」(全5本)

◆「戦闘地域」を理由に、支援を妨げるイスラエル軍
2023年10月7日、パレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスがイスラエル南部を攻撃。約1200人を殺害し、251人を人質としてガザに連れ去りました。それを受け、イスラエル軍がガザで軍事作戦を開始。以来、ガザの死者数は6万3000人を超えたと、ハマスが運営するガザ保健当局は発表しています。イスラエル軍はガザを「危険な戦闘地域」と宣言。支援物資の搬入を拡大するためとして実施してきた攻撃の限定的な停止措置を、ガザ市には適用しないと発表しました。軍事作戦の拡大が懸念されるとともに、今後100万人ものパレスチナ人を強制的に追放する可能性があり、国際社会からは非難の声が相次いでいます。
 
◆守られるべきジャーナリストさえも殺害されるガザ
ガザでは取材活動自体が極めて困難です。外国メディアはイスラエルやエジプトを経由しなければ現地に入れず、入域は厳しく制限されています。そのため、多くの国際報道機関は現地在住のパレスチナ人ジャーナリストに依存して情報や映像を得ているのです。報道を担う地元ジャーナリストたちは、紛争の当事者である地域に住みながら、自身も空爆や停電、食料不足といった生活上の危険に直面しつつ取材を続けています。イスラエル軍は、ガザで270人以上のジャーナリストとメディア関係者を殺害してきました。戦闘地域では、ジャーナリストは文民として国際人道法によって保護される対象ですが、近年はジャーナリストが殺害、負傷、拘束、誘拐される事件が増加しており、紛争下でのジャーナリストの保護は大きな課題となっています。
 
◆50万人の命を危険にさらす飢餓問題
“生き地獄”とも言われるガザで、喫緊の課題とされていのが飢餓です。国連は8月22日の事務総長声明で「人為的な災害であり、道徳的に許されず、人類そのものの失策」「占領勢力であるイスラエルには、住民に食料や医療物資を確保する国際法上の明白な義務がある」と、イスラエルを名指しで批判。即時の停戦と、すべての人質の即時の解放、そして完全かつ制限のない人道支援へのアクセスを求めました。約2年にわたって続く紛争の中で、イスラエルはガザへの食料や生活必需品の搬入を体系的に妨害。ガザ地域では約50万人が飢饉の影響を受けており、衰弱が進んだ子どもたちは泣くことすらできず、ただ死を待つのみです。

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