特集「戦う女たち」(全3本)
◆社会の矛盾が生み出す「革命」武力闘争
「革命」とは何か。それは、被支配階級が時の支配階級を倒して政治権力を握り、政治・経済・社会体制を根本的に変革することです。今、平和な日本では、国家が転覆するような革命が起きる気配は感じられません。しかし、かつては、日本にも革命を起こそうとした武装勢力が存在しました。中でも、世界で数々の事件を起こし、国際テロ組織に指定された日本赤軍は、1971年から2001年まで存在しました。その最高指導者として組織を率いていたのが重信房子です。彼らは、アメリカやイギリスのせいで、パレスチナの人々が住む土地を奪われたことに対し、戦うべきだと立ち上がりました。命を投げ打って、信念を貫こうとしたのです。テロは断罪されなければなりません。しかし、国家による殺戮は許されるのか。そうした矛盾が、彼らに銃を手にさせたのです。それから、半世紀近くが経とうとしています。パレスチナはどうなったでしょうか。イラクやシリアの現実をどう考えますか。引き続き日本がアジアで存在感を示すには、こうした問題に無関心では許されません。日本人はこの現実をどう受け止め、どのように考えるべきでしょうか。国際社会の一員として、私たちは問われています。
◆メディアの発達が引き起こす新たな「革命」
メディアの発達は、戦場からの映像を届けます。ジャーナリストは、その使命のために、命がけで銃弾をかいくぐり最前線を目指します。報道が、世界を変える力を持つ時代です。また、インターネットの普及により、世界で「革命」が起きました。シリアの情報戦を率いた女子学生は19歳でした。一方で、平和な社会では、個人主義を取り違えてしまい、「自分さえよければ良い」という利己主義が蔓延し、無関心が広がっていきます。多様な考え方を認めると同時に、他人に干渉しないという不文律が、世界で苦しむ人々を孤立に追いやっているのです。情報戦で革命を率いる女子学生の、彼女が背負う重みを周囲が理解する難しさもまた、もうひとつの現実です。今、社会の問題にあらためて必要なのは、女性の持つ「共感力」ではないでしょうか。戦う女性たちが、その変革に立ち上がるべく奔走する動機は、苦しむ人々に寄り添う思いです。救いたいと願う気持ちです。特集「戦う女たち」では、ジャーナリスト・女子学生・革命家というそれぞれの立場で、命がけで”戦場“を駆け抜ける女性たちのドキュメンタリーをお届けします。その生き様からは、絶望の暗闇に、それでも一筋の希望を見出して前へ走ろうとする彼女たちの勇気に激しくを心揺さぶられます。
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