特集「自立したい女性たち」(全2本)

◆今なお激しい女性差別に苦しむ人々がいる世界
国際社会では女性の平等が訴えられ、世界中で多くの支援活動が行われてきました。にもかかわらず、今なお、激しい女性差別に苦しむ人々が大勢います。慣習にとらわれた社会で生きる女性たちです。アフガニスタンは、現在も女性に対する暴力や差別が横行する社会です。旧支配勢力のイスラム原理主義組織タリバンは、女性から教育や労働の機会を奪いました。部族の慣習としても児童婚や強制結婚が当たり前に行われ、女性の自由を認めない常識が生活を支配しているのです。女性の社会進出を嫌う価値観は、公職についた女性を脅迫し、暗殺にまで至るという恐ろしい現実につながっています。また、女子学校などの教育機関がタリバンに襲撃されるという信じ難い行為も、今なお現実に行われています。インドもまた、女性の権利が守られていない社会です。伝統的に女性は、男性に比べて教育の機会が限られ、識字率も2、3割低いといわれています。多くの女性は社会に出て仕事につくよりも、家庭に入ることを優先させられてきました。こうした価値観は、地方や貧困層で特に強くみられます。女性に対する人権意識の低い社会は、おのずと女性への暴力が蔓延する社会になります。女性が被害を受ける傷害事件が後を絶ちません。バス車内で集団レイプが行われ、殺されるなど、想像を絶する悲惨な事件が繰り返されています。
 
◆女性蔑視の社会で、声を上げる女性たち
こうした激しい女性差別の社会で、女性が平等を訴えること、自らの権利を主張することは、簡単なことではありません。しかし、女性たちが勇気を振り絞って声を上げなければ、社会が変わらないのも事実です。そこでこの特集では、差別的慣習に苦しみながらも自立を求めて奮闘している女性たちの生きざまを記録したドキュメンタリー映画を2作品お届けします。アフガニスタンやインドは、極めて深刻な女性の人権侵害が行われている地域ですが、作品を通して、私たち日本の現状やあり方についても考える機会につなげていただければ幸いです。

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